
ユーザーエクスペリエンスをどのように分析するか

最近では Webアプリケーションや新しいガジェットやデバイスなどが出た際に「ユーザーエクスペリエンス」と言う言葉を聞くことが多くなってきました。
なかなか翻訳の難しい言葉ですが、皆様はどのようにこの言葉を説明するでしょうか? あえて翻訳するときには「操作感」や「使用感」と言う言葉で訳されることが多いのではないかと思うのですが、エクスペリエンス(経験)と言う言葉を使う点からも分かる通り、単純なアプリケーションの使いやすさだけでなく使う人・使うデバイス・コンテクストなど総合的な視点での使用感について考えるときにも使われるのではないかと思います。このような感覚的な話もあり、なかなか訳語で意味をとらえるのが難しく、そのままの表現で使われることが多くなってきました。(Wikipediaから軽く引用しようと思ったのですが、思ったより定義が錯綜していて断念しました)
SysTrackではワークスペースアナリティクスを通じて、ユーザーエクスペリエンスを分析する手段も提供しています。(余談ですが、ユーザーエクスペリエンスと言う言葉があまりに広義なので、デジタルワークスペースの快適さに特化して分析する、と言う意味を強調するために「Digital Experience Monitoring」と言う表現も使います。)OSのパフォーマンスモニターで「ユーザーエクスペリエンス」と言う項目があれば一番簡単なのですが、なかなかそこまで簡単ではなく、SysTrack は独自の方法でユーザーエクスペリエンスを分析します。今日は SysTrackのユーザーエクスペリエンスの考え方について紹介します。
Quality TimeとActive Time
SysTrack では ユーザーエクスペリエンスを評価するにあたって、「Quality Time」と言う独自の指標を使って評価します。
Quality Timeとは以下のような定義で決定されます。
Quality Time: 対象のシステムがActive であった時間のうち健全性影響(Disk Busy 、CPU高騰、起動時間遅延など)のなかった時間
それではここで言う「健全性影響」とはどのような指標で決定されるのでしょうか。 SysTrackは以下の14個の項目を評価し、問題が発生していなかった時間を Quality Timeと判定します。例えば、ユーザーが Outlookを使って業務をしていたとしてもシステムのCPU使用率が異常に高騰していたり、ディスクの遅延が大きくなったりしているような状況では、生産性の高い状態ではなかったと判断しています。
主なリソース | 容量指標(閾値) | 性能指標(閾値) |
---|---|---|
CPU | 使用率95%以上 | Queue Length:コア数+1 |
Memory | 空きメモリ 50MB以下 | |
Disk |
Disk Queue Length > 1 Disk Queue Time > 10ms (平均キュー期間) Disk Service Time > 20ms (キューが投げられてからの遅延) Disk Transfer Time > 20ms (ディスク遅延) %Disk Time > 80% (ディスクビジー) |
|
Latency |
Latency Gateway > 5ms Latency Sessions > 100ms (ICA/HDX、PCoIP、Blast、RDPなどのRTTも確認してください) Latency Home Directory > 25ms |
|
Virtual Machine |
VM Memory Ballooned > 0mb VM Machine Ready Time > 10% |
|
Virtual Memory | Virtual Memory Commit Ratio > 90% | |
Network |
Network Utilization > 30% Network Packet Rate > 100mb/sec |
Network Retransmit Rate > 10% |
Startup |
App Startup > 5sec セッション スタート時間 > 30sec |
|
Software Install | ソフトウェアのインストール(イベント) | |
Software Updates | パッチの適用(イベント) | |
Events | エラー イベント(システム・アプリケーション)と警告イベント(システム) | |
Faults | ソフトウェアの障害(イベント) |
これらの項目は設定で除外したり閾値を調整したりすることは出来ますが多くの場合デフォルトの構成で分析することが出来ます。
健全性スコアリングとユーザーエクスペリエンス
SysTrackではこのような分析結果をもとに指定した期間の健全性スコアを算出します。
健全性スコアは単純に Quality Time / Active Time で定義されます。
※SysTrack日本語 β版
SysTrackは単純にスコアリングをするだけでなく、分析期間の中で最もユーザーエクスペリエンスに影響を与えたものが何かを同時に提示します。これが現在のお客様のワークスペース環境の改善ポイントになります。
これは障害検知とは異なり、特定の数値になったらアラーティングする、と言うような類のものではなく強化ポイントを提示するものです。
したがって、健全性スコアの絶対値よりは相対的にどの部分の影響を受けやすいか?と言う点について考えたり、これらの要素によりどの程度影響を受けているのか?と言う部分に対して分析を行うためのものです。例えばVDI基盤などの場合には基盤のHW増強のポイントなどを考える際にも有用なのではないかと思います。当然この話はどのくらい増強したらよいのか?と言う話もセットで考える必要がありますが、SysTrackはこのような分析でも力を発揮します。
今お客様のワークスペース基盤でユーザーエクスペリエンスは分析できているでしょうか? SysTrack では客観的な指標からユーザーエクスペリエンスの強化ポイントについての分析結果を即時に提示することが出来ます。
こちらのページもご参考にご覧ください。

日本国内におけるSysTrackのテクニカルサービス部門の責任者です。