働き方改革が推進していく中、多くの企業でテレワーク環境用に「仮想デスクトップ」の導入が進められています。その中でも特に注目されているのが、Microsoft社が提供する「Windows Virtual Desktop(WVD)」です。ここでは、企業の熱い視線を集めているWVDの概要や、注目される背景について解説します。

WVDとは?

「WVD」とは「Windows Virtual Desktop」の略で、Microsoft社が2019年に提供開始した仮想デスクトップサービスを指します。仮想のデスクトップ環境をクラウド上に収容し、サービスとして提供する「Desktop as a Service(DaaS)」のひとつです。

近年の働き方改革の推進により、近年ではテレワーク環境の構築が求められてきていましたが、ここにきて新型コロナウイルス感染拡大防止のためさらにテレワークでの業務推進が強く求められています。テレワーク環境を用意する方法は複数ありますが、最もよく利用されるのが仮想デスクトップです。その仮想デスクトップの中でも、安価なクラウドサービスとして利用できるのがDaaSです。

DaaSには有名なサービスがほかにも多数ありますが、WVDはMicrosoft社純正のDaaSとして注目されています。

WVDが注目される理由

それでは、数ある仮想デスクトップサービスの中で、WVDに注目が集まる理由とは、Microsoft社純正であること以外に何があるでしょうか。その理由はいくつか挙げられますが、最も大きな理由は手軽さです。

企業で仮想デスクトップを導入する際、収容先となる仮想サーバーをはじめ、ゲートウェイなどのさまざまなコンポーネントが必要となります。その点WVDであれば、必要なコンポーネントの多くをMicrosoft Azureで揃えられるのです。

加えてWVDにおいては、Windows 10のマルチセッション接続が唯一利用可能である点も重要となっています。Windows 10のようなクライアントOSを利用し、仮想デスクトップ環境を用意する場合、従来はユーザー単位で仮想マシンを割り当てる必要がありました。

一方WVDでは、「Windows 10 Enterprise マルチセッション」というイメージを使うことで、Windows10に対するマルチセッション接続が可能です。これにより、1台の仮想マシンを複数ユーザーで共有できるようになります。その結果、仮想マシンのリソースを節約し、コスト削減が実現できるのです。

WVDの利用条件

WVDの環境を準備し、ユーザーがWindows 10の仮想デスクトップを利用するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。まず、以下に挙げるライセンス(どちらか一方)が、ユーザー分だけ必要となります。

  • E3/E5/A3/A5/Business
  • Windows E3/E5/A3/A5

次に、WVD運用のための仮想マシンを収容するクラウド基盤として、Microsoft Azureを使う必要があります。その際、Microsoft Azure基盤を利用するために必要となるのが、「Azureサブスクリプション」です。

そのほか、WVDを使うユーザー管理用に「Active Directory」を準備しなくてはなりません。Active Directoryは、「Azure Active Directory(Azure AD)」との同期が必要となります。

Windows 10のマルチセッションとは?

Windows10のマルチセッションが限定提供されている点こそ、WVDの最大の特徴といえます。では、そもそも「Windows 10のマルチセッション」とは何なのでしょうか。

Windows 10のマルチセッションのメリットを理解するためには、従来の仮想デスクトップの仕組みを把握する必要があります。というのも、従来の仮想デスクトップに見られるデメリットをクリアしたものが、Windows 10のマルチセッションであるためです。

まず、従来型の仮想デスクトップには、主に「SBC(Server Based Computing)」「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」の2種類の実装方式がありました。これらはそれぞれ特徴が異なります。

SBCは、ユーザーごとに仮想デスクトップを用意するのではなく、サーバーOSを複数ユーザーが共有する仕組みです。複数ユーザーで1つのサーバーOSを共有できることから、コストを削減できるというメリットがあります。一方、複数ユーザーが同じ環境を共有するため、ユーザーごとのカスタマイズができないのが難点です。また、サーバーOSでは利用できないアプリもあります。

対するVDIは、ユーザーごとに仮想マシンを割り当て、それぞれに仮想デスクトップを利用させる仕組みです。ユーザー個別の環境を利用できるため自由度が高い一方、ユーザーの数だけ仮想マシンが必要となり、コストが高くなりやすいのがネックといえます。

Windows 10のマルチセッションでは、複数ユーザーによる1台の仮想マシンへの同時接続、およびユーザー個別の仮想デスクトップ利用が可能です。これにより、SBCのようにコストを節約しつつ、VDIのように高い自由度も実現できます。つまるところWindows 10のマルチセッションとは、SBC・VDIの「いいとこどり」をした新たな方式といえます。

その他WVDのメリット

WVDを使うメリットは、Windows 10のマルチセッションだけではありません。以下では、そのほかのメリットをご紹介します。

VDI環境構築が不要

通常、VDI環境を利用できるようにするためには、膨大なコストが必要でした。その点、WVDであれば専用の管理画面(「Azure portal」)上から、アプリケーションのクラウドへの移行を完了できます。また、必要なコンポーネントも同画面上で用意できることから、特別な環境構築を別途行う必要もありません。そのため構築期間を削減することが可能です。

高度なセキュリティ

企業がテレワークによって仮想デスクトップを利用する際は、セキュリティの確保も重要です。その点、WVDは高度なセキュリティが確保されています。

たとえばWVDでは、「Azure DDoS Protection」によってDDoSなどの攻撃から保護されているほか、インターネット環境とも適宜分離されています。また、Azure Active DirectoryやActive Directory Domain Servicesによって多要素認証の利用も可能です。そのほか、アクセス権限の設定や、IPアドレス単位でのアクセス制御機能なども用意されています。テレワークやリモートワーク環境でWVDを使用する場合でも、高度なセキュリティが備わっているため安心でしょう。

コスト削減

WVDは従量制課金で、使った分だけ費用が発生する仕組みです。そのため業務時間中のみ起動させ、休日・夜間などの利用しない時間帯では課金を停止するといった運用で、コストを削減できます。ほかのVDIサービスのように、年会費のような定額料金もありません。

Lakeside SysTrackでWVD運用をスムーズに

WVDの導入にあたっては、事前に十分な検証を行い、トラブルを未然に回避する必要があります。たとえばWVDでは、セッションごとにリソースを制御する機能がありません。そのため、一部のヘビーユーザーによりリソースが消費され、全体のパフォーマンスが低下してしまうことがあります。

またアプリケーションやドライバ、アドオンが問題なく動作するかどうかの検証も必要です。そのほか、プリンターなど外部デバイスの動作確認も重要となります。

Lakeside Softwareの SysTrackは、そうした問題を解決できるソリューションです。具体的には、現在使用中のデスクトップ環境からデータを取得し検証を行い、WVD導入に際して前述のような問題が発生しないか確認可能です。

さらに本ソリューションでは、ユーザーのWVD利用状況を可視化する機能も備えています。これにより業務生産性の向上が見込めるほか、利用状況を監視することで、セキュリティリスクの軽減にも寄与します。

企業のテレワーク環境を構築するうえで、WVDは最適な選択肢といえます。Lakeside SysTrackを活用すれば、WVDの運用をスムーズに進められるでしょう。

30日間無償お試し「マルチセッションOSモニタリングダッシュボード」をご用意しています。Windows 10マルチセッションのリソースの利用状況をオンデマンドで可視化できます。
またこちらは、Citrix Virtual Apps (旧XenApp)、RDSの利用状況も合わせて可視化することも可能です。

まとめ

WVDはマルチセッション接続が可能なため、1台の仮想マシンへ複数ユーザーが同時に接続し、仮想デスクトップを利用できます。また、ユーザーごとに別々の仮想デスクトップを用意できるのも、WVDのメリットです。WVDで仮想デスクトップ環境を整えることにより、コスト削減につながるうえ、各ユーザーの仮想デスクトップの設定を分けてカスタマイズすることも可能です。
そのうえでLakeside SysTrackを活用すれば、WVD導入時にしばしば発生するパフォーマンスなどの問題も回避できます。さらに利用状況を可視化できるので、導入後の運用では、CPU、メモリ、I O P S、ネットワークなどのリソース消費をモニタリングすることが可能なためWVDの安定運用
を強力にサポートします。ぜひWVDの導入を検討する際にSysTrackもあわせてしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、この機会に30日間無償お試し「マルチセッションOSモニタリングダッシュボード」をお試しください。