このブログ記事は、従業員のデジタルエクスペリエンス(DEX:Digital Employee eXperience)を管理するための基本的な考え方に焦点を当てた3つのパートから構成されるシリーズの第1回目です。


企業や組織は、従業員が業務で活用しているデジタル環境で起きていることや直面している問題を常に明確に把握しているとは限りません。

そして経営者層からIT管理者にいたるまで、テクノロジーリーダーたちは皆同じ疑問を持つことになります。「エンドユーザーは、従業員のデジタルエクスペリエンスについてどう思っているのだろうか?」という疑問です。
より正確に言えば、それは「エンドユーザーが言及していないことは何か?」という疑問です。

多くの場合、ITチームは自らが必要とする可視性を確保できず、その一方で、エンドユーザーは自分たちが遭遇した問題について必ずしも正直に答えるとは限りません。このように、IT部門に見えているものとエンドユーザーが経験していることとの間に不一致があると、その結果として、より大きな問題が即座に引き起こされる可能性があります。これは特に、サポート、改革プロジェクト、従業員の生産性、ビジネス成果(採用、定着率、イノベーション、投資収益率(ROI)、成長など)の分野に関して当てはまります。

では、このような可視性に関するギャップは、企業や組織に対して、そして従業員のデジタルエクスペリエンス(DEX)に対していかなる影響を与えているのでしょうか?そして、IT部門とエンドユーザーの間にあるこのようなギャップを埋めるために、企業や組織は何ができるのでしょうか?

ここでは、IT部門の持つ可視性について詳しく見ていくことにします。

まずは知ることが重要

例えば、リモートワーカーがアプリケーションのクラッシュに関する問題を抱えているとします。

これは、最初は何の問題もないように見えます。アプリケーションを再オープンするか、または再起動すれば良いだけです。

しかし、クラッシュが2回、3回と続くと、リモートワーカーのフラストレーションが少し高まります。そしてクラッシュが4回目、5回目になると、彼らのフラストレーションは完全に高まります。そして6回目のクラッシュの後、その日の仕事が完了できなかったとき、リモートワーカーは次のようなオプションを検討し始めます。

  • この問題に関してIT部門を煩わせるべきか?
  • 自分は実際にこのアプリをどれだけ使う必要があるか?
  • もしかしたら、自分はこの問題を修復するためのプログラムをダウンロードできるのではないか?それとも新しいアプリケーションを見つけて、それを使うようにした方が良いのではないか?

このようなケースでは、ITチームには、複雑なデジタル環境全体をリアルタイムに、そして過去のトレンドを通じて見渡すことで、いかなる問題がいかなる理由で発生しているのかを把握する能力が必要となります。なぜなら、このユーザーがIT部門に通報した場合、その時点で、同ユーザーの従業員のデジタルエクスペリエンスはすでに損なわれており、クラッシュやダウンタイムへの対処が原因で生産性が失われているからです。また、この問題が雪だるま式に大きくなると、他のユーザーにも影響を与えるほか、解決するためにさらに多くの時間、スタッフ、リソースが必要となる可能性があります。

従業員のデジタルエクスペリエンス(DEX)とは、エンドユーザーエクスペリエンス(EUX)とも呼ばれるものであり、職場環境におけるユーザーとテクノロジーとのインタラクションの質を意味します。

当然ながら、デジタル環境全体では、アプリケーションのクラッシュだけでなく、非常に多くのことが発生しています。

何が起きているのか、それがユーザーにどのような影響を与えているのか、そして問題を解決するために何ができるのかを知ることは、あらゆる企業や組織の運営にとって不可欠です。また、デジタルインフラ自体に関する可視性を高めることで、IT部門は、デバイス、ソフトウェア、クラウドサービス、ライセンスなどの資産を追跡できるようになるため、その結果、的を絞った更新、性能監視、ソフトウェアの合理化、およびその他の変革プロジェクトを通じて、デジタルエクスペリエンスを向上させビジネス成長を促進できるようになります。

さて、ここで重要な問題があります。IT部門は、特にデジタル従業員エクスペリエンスに関して、いかにしてそのような可視性を獲得できるのでしょうか?

その答えは、デジタルエクスペリエンス管理にあります。

デジタルエクスペリエンス管理がいかに可視性を向上させるか

デジタル環境は、長期間同じ状態を保つことはありません。テクノロジーの進化、優先順位の変化、BYOD(Bring-Your-Own-Device)の拡大に伴い、IT環境は常に変化と成長を続けており、しかも、それに伴って非常に複雑なものとなっています。

このため、すべてを把握することは非常に困難になっています。IT部門がIT資産の断片的な情報を把握するためのツールやソリューションは無数に存在していますが、そのほとんどは、デジタル環境全体やエンドユーザーエクスペリエンスを明確に把握するために必要となる広範でかつ奥深い詳細情報を提供できません。

このため、あらゆるコンピューティング環境に関する包括的なビューを確保するには、適切な場所で適切な種類のソリューションを探すことから始める必要があります。
デジタルエクスペリエンス管理(DEM)とは、ユーザーのデジタルエクスペリエンスの質を把握するために、デバイス、構造、サービスの使用状況やパフォーマンスデータを分析するプロセスであり、あらゆるデジタルインフラの最も重要な部分である「エンドポイント」に焦点を当てて設計されています。

物理デバイスと仮想デバイスの両方に軽量なエージェントを導入することで、DEMプラットフォームは、デバイスの詳細情報やユーザーの行動などを含むメトリクスを継続的に収集できるようになります。これにより、デジタル環境に関するより優れたインサイトを明らかにすることが可能となります。 

DEMソリューションであるSysTrackにおいて、このプロセスには、エッジから15秒ごとに1,000件以上のメトリクスを安全に取得すること、そしてリアルタイムデータと過去のコンテキスト情報をIT部門に提供することが含まれています。これにより、次のことが把握できるようになります。

  • ハードウェアとアプリケーションのパフォーマンス
  • 遅延
  • CPU、メモリ、ストレージの使用量
  • ネットワークの接続状況
  • アプリケーションやシステムの障害
  • 起動時間の遅延

これらのデータのいずれか1つだけでも、IT環境における盲点を埋めるのに役立ちます。しかし、これらのデータに加えて、エンドユーザーからのフィードバックやセンチメント情報を組み合わせることで、IT部門は、ユーザーが体験していることや、彼らのデジタルエクスペリエンスに影響を与えるすべての要因に関するより包括的な可視性を確保できるようになります。

また、SysTrackが175個のクラスのオブジェクトを通じて収集したすべてのデータを利用することで、ITにおける最も重要な指標の1つである「エンドユーザーエクスペリエンス(EUX)スコア」を測定できます。

EUXスコアを通じて、IT部門は、組織のデジタル環境の全体的な状態と、それが生産性に与える影響を一目で把握できるようになります。また、EUXスコアは、日々の業務に大きな影響を与え、プロアクティブなITサポートを促進するほか、ITプロジェクト、変革プロジェクト、ビジネス戦略における強力なKPI(重要業績評価指標)にもなります。

DEMをDEX戦略に組み込む

エンドポイントの可視性を高めることは重要です。しかし、それらのデータをすべてアクションやプロセスに変換して、従業員のデジタルエクスペリエンス全体を向上させることは、まったく別の問題です。
しかし、ITチームの可視性が高まるほど、チームが実行できることも多くなります。そして、いくつかの重要なユースケースにおいては、IT部門が持つ可視性の向上が大きな違いをもたらします。

プロアクティブなサービス業務

これまでのITサポートに対するアプローチは、主として事後対応的(リアクティブ)なものであり、サービスデスクのチケットの待機、調査、問題解決というアクティビティを繰り返すものでした。
しかし、デジタル環境が複雑化し、アプリケーションやデバイスに対するユーザーの要求が高くなると、リアクティブな対応だけでは不十分になります。
アプリケーションのクラッシュやクラウドサービスの停止など、問題が発生した時点で(あるいは発生する前に)問題を把握できれば、迅速な修復が可能になると同時に、従業員の満足度も高まります。SysTrackは、詳細なテレメトリーデータに関する洞察力に富んだ分析や人工知能ベースの機能を通じて、プロアクティブで予測的なアプローチを提供します。また、自動化を通じて、サービスデスク業務を最適化し、ITを「レベル0」のサポートに近づけることができます。

ペルソナ管理

従業員の働き方は、従業員ごとにそれぞれ異なっています。また、従業員が必要とするまたは使用するソフトウェアやハードウェアはそれぞれ異なっているため、彼らは同一のDEX問題により影響を受けない可能性もあります。

多様なユーザーの複雑な状況に対応するために、IT部門は、Lakesideのデジタルエクスペリエンス管理(DEM)ソリューションを使用して、エンドユーザーを似通ったワークスタイルやニーズを持つグループ(これを「ペルソナ」と呼ぶ)に分類することで、より適切なカスタムサポートサービスを提供できるようになります。

ペルソナを利用すると、ITチームは次のことが可能になります。

  • 特定のアップデートや変更の影響を受ける可能性のあるユーザーへのサポートに注力する
  • 不必要な大規模アップグレードではなく、必要に応じた調達を行う
  • ソフトウェアやハードウェアの更新を、それを最も必要としているユーザーに対して優先的に提供する
  • 使用状況に応じてライセンスのアップグレードやロールバックを合理化する

リモートワークのサポート

部分的または完全なリモートワークを行う従業員を抱える企業や組織にとって、オフィス外で質の高いデジタル従業員エクスペリエンスを維持することは、非常に困難な課題となります。
これは主に、IT部門が企業ネットワークの外部に関する可視性をほとんど持っていないことが原因であり、IT部門が、家庭用Wi-Fiや未承認の接続デバイスを使用しているリモートワーカーをサポートすることはほぼ不可能です。

しかし、Lakesideのソリューションでは、拡張やサードパーティとの統合が容易に行えるため、リモートワーカーがどこにいようとも、オフィス内と同じように、すべてのエンドポイントに関する拡張された可視性を提供できます。これにより、IT部門は、企業ネットワークの外部に関する可視性を得ることで、従業員のデジタルエクスペリエンスや生産性に影響を与える問題を特定し解決できるようになります。

Lakesideのソリューションを導入すると、企業や組織は「エンドユーザーは、従業員のデジタルエクスペリエンスについてどう思っているのだろうか?」という疑問に対して、明確に答えることができるようになり、従業員のデジタルエクスペリエンスに関する可視性を確保できるからです。

参考
デジタルエクスペリエンスについて