このブログ記事は、従業員のデジタルエクスペリエンス(Digital Employee eXperience )を管理するための基本的な考え方に焦点を当てた3つのパートから構成されるシリーズの第2回目です。「パート1:可視性に焦点を当てる」と併せてご覧ください。


IT部門は、ずっと前から、次のようなユーザーからの苦情を耳にしていました。

「私のPCに何か問題がある」
「インターネットが遅い」
「このアプリケーションは何回もクラッシュする」
「ブルースクリーンが何回も出る」
「どうやら私は、PCに嫌われているようだ」 

報告された問題に共通しているのは、従業員のデジタルエクスペリエンス(DEX)を低下させるということです。そして、問題が長引けば長引くほど、彼らの生産性への影響も大きくなります。

その一方で、問題をできるだけ早く特定し修復することは、必ずしも容易ではありません。

なぜなら、生産性に関する障害についてヘルプデスクに問い合わせたユーザーが10名いたとしても、問い合わせていないユーザーも10名いる可能性があるからです。また、BYOD(Bring-Your-Own-Device)、SaaSソリューション、およびその他の新しいテクノロジーが導入された結果として、現在のデジタル環境は非常に複雑になっています。さらに、多くの企業や組織は、場所やタイムゾーンを超えて分散した従業員をサポートしているため、IT部門の持つ可視性がより制限される事態となっています。

このような障害がある中で、ITチームは、いかにしてヘルプデスク業務を最適化し、修復をより効果的に行えるようになるのでしょうか。

迅速な解決、そして従業員のエクスペリエンスの改善と生産性の向上は、従業員にサポートチケットの提出を促すことや、予知能力を備えたITプロフェッショナルを雇うことだけで実現できるものではありません。その解決策とは、アプローチを切り替えることなのです。すなわち、適切な戦略とツールを導入することで、ITチームは、従来のリアクティブなアプローチからプロアクティブなアプローチへと切り替えることが可能となります。

新たな世界に向けてIT部門を変革

かつてIT部門は、ヘルプデスクサポートに対してまったく異なるアプローチを採用していました。それは、人間ではなく機械に焦点を当て、インシデントが発生した後でそれに対処するというものでした。

しかし今や、デジタル環境がますます複雑化し、ユーザーが使用するデバイスやテクノロジーに多くを要求するようになったことで、IT部門にとっての新時代が到来しています。

新たな世界に向けてIT部門を変革

現在、ますます多くのITチームが、問題の修復を開始する前にユーザーにサポートチケットの提出を求めるような「リアクティブ」なアプローチではなく、問題が発生した時点でそれに対処し、理想的には従業員のデジタルエクスペリエンスが影響を受ける前に問題に対処するような「プロアクティブ」な戦略を採用しています。

ただし、より予測性の高いプロセスを実現するには、デジタル環境に関する包括的な可視性に加えて、高度な分析、IT運用のための人工知能(AIOps)、自動化のような、より強力な修復ツールが必要となります。これが、ますます多くの企業や組織が、サービスデスク業務を変革するためにデジタルエクスペリエンス管理(DEM : Digital Experience Management)を採用している理由です。

DEMを通じてプロアクティブなITサポートを実現

デジタルエクスペリエンス管理(DEM)とは、ユーザーのデジタルエクスペリエンスの質を把握するために、様々なデバイス、組織、サービスにおける使用状況やパフォーマンスデータを分析するプロセスです。エンドポイントから直接メトリクスを継続的に収集して分析することで、IT部門は拡張された可視性を確保し、デジタルエクスペリエンスについてより詳細な把握が行えるようになります。

これらのメトリクスの例としては、次のものが挙げられます。

  • ハードウェアとアプリケーションのパフォーマンス
  • 遅延時間
  • CPU、メモリ、ストレージの使用率
  • ネットワークの接続状態
  • アプリケーションやシステムの障害
  • 起動時間の遅延

これらのデータポイントは集約された後、ダッシュボードやレポートに見やすい形で表示されます。これらを通じて、IT部門はデジタル環境の状態を一目で理解できるようになるほか、特定のデータセットに関するカスタマイズされた詳細なビューを表示できます。また、これらのデータは、IT部門だけでなく、経営幹部、人事部門、およびその他の意思決定者にとって、エンドユーザーエクスペリエンスを把握するための信頼できるシングルソースとなります。

このようなIT環境全体やユーザー行動に関する可視性を確保できれば、従業員のデジタルエクスペリエンスに影響を与えている問題を把握するために、エンドユーザーが提出したサポートチケットだけに頼る必要はなくなります。デジタルエクスペリエンス管理(DEM)を利用すると、ITチームは、現在何が起きているか、誰が影響を受けているか、なぜ影響を受けているかを素早く把握した上で、可能な解決策を提供できるようになります。

また、DEMを利用すると、IT部門は、問題の発生を未然に防ぐための対策を講じることができます。資産とユーザーニーズに関するより的確な可視性を通じて、企業や組織は、ハードウェアとソフトウェアのサイズを適正化できるほか、ITリソースを圧迫する未使用の(または十分に利用されていない)アプリケーションを一掃できます。

DEMを通じてプロアクティブなITサポートを実現

しかし、サービスデスク業務をよりプロアクティブにするというこの動きは、単に正しい方向への一歩というだけではなく、徐々に上記の図の左側へとシフトしていくものでもあります。

問題に真っ向から取り組むことで、企業や組織は、自己修復とセルフサービスを通じて、問題を最初から予測して防止するような「レベル0」のサポートへの移行を開始できます。

これにより、従業員のデジタルエクスペリエンスと生産性を向上できるほか、IT部門の時間とリソースを節約することで、空いた時間やリソースをより高度な修復作業に費やすことができます。

従業員のデジタルエクスペリエンスの低下を予測し防止する

「ブルースクリーン(BSOD:Blue Screen of Death)」ほど、生産性の急激な低下を招くものはありません。それ以外にも、アプリケーションのクラッシュ、ビデオ通話の切断、クラウドサービスの停止、接続性の問題など、従業員が日々の仕事をこなす上で直面する無数の問題が存在しています。

これが、IT部門に、問題を効果的に特定して解決すると同時に、他の問題が発生するのを予測して防止できるようなソリューションが必要となる理由です。

そのようなソリューションの1つとして、Lakeside Softwareのソリューションが挙げられます。

Lakesideのクラウドネイティブなマルチテナント型プラットフォームは、DEMソリューションであるSysTrackを搭載しており、軽量エージェントをエンドポイントに導入した後、15秒ごとに1,000種類以上のメトリクスをエッジからセキュアに収集します。続いて、IT部門は、このデータコレクションを分析することで、デジタル環境に関する拡張されたビューを、リアルタイムで(または過去に遡って)提供できるようになるほか、全体的な従業員のデジタルエクスペリエンス(別名エンドユーザーエクスペリエンス)を向上させるための実用的なインサイトを得ることができます。

従業員のデジタルエクスペリエンスの低下を予測し防止する

そしてもちろん、Lakesideのソリューションは、効果的でプロアクティブなITサポートに不可欠なツールやAIベースの機能も提供しています。これらを利用することで、企業や組織は次のことを実現できます。

  • 早期修復によるサポートの迅速化とインシデント件数の低下
  • サービスデスク業務の最適化を通じて、より価値の高い業務に時間とリソースを割けるようになる
  • 問題を根本から解決することによるエンドツーエンドのコスト削減
  • 特定が困難な異常の検出および予測を改善
  • データの活用率を高め、既存のツールセットを通じてより多くの価値を生み出す
  • デジタル従業員エクスペリエンスと生産性を向上

主なプロアクティブ機能を、下記にいくつか紹介します。

SysTrack AIOps

迅速な解決は重要なことですが、トラブルを未然に防止できれば、それに越したことはありません。

SysTrack AIOpsツールは、エンドポイントデータにAI処理を適用することで、センサーやアラーム、パターン検出、自動自己修復スクリプト、およびレポート機能などを提供します。これにより、企業や組織は、デジタル環境全体における問題の特定、解決、予測が行えるようになります。

インテリジェントなダッシュボード

修復、自動化、資産の最適化を実現するための答えを見つけるには、最適な視点を持つことが必須です。

SysTrackが提供するダッシュボードを使うと、ITチームは、最も関連性の高いメトリクスに優先順位を付けた上で、特定のアクションに必要となるインサイトをもたらすような、カスタマイズされたビューを簡単に作成できます。

このダッシュボードの使用例としては、次のものが挙げられます。

  • ユーザーをペルソナに分類することで、的を絞ったハードウェアやソフトウェアの更新を実施する
  • 将来のVDI移行に向けて適切なサイジングを行うために資産を確認する
  • デジタル環境に最も影響を与える問題を迅速に特定する
  • 変更や更新が引き起こす悪影響を判定する
  • リモートワーク設定のパフォーマンスを追跡する

カスタマイズされたSysTrackダッシュボードには、リモートワークのパフォーマンスの傾向が表示されます。

セルフヒーリングとEngagements

エンドユーザーも、よりプロアクティブなサポートにおいて、重要な役割を担います。

「Self-Help IT Portalアプリケーション」および「SysTrack Engagements」という2つの新しいツールが導入されています。これらのツールを利用すると、SysTrackのセンサーがよくある問題を検出した際に、従業員が迅速かつシンプルなアクションを実行できるようになります。

Self-Helpアプリケーションは、ITに関するアナウンス、現在発生している問題に対するステップバイステップまたはワンクリックでの解決機能、システム情報、修復スクリプトを実行できるツールキットをユーザーにワンストップで提供します。

一方、SysTrack Engagementsは、カスタマイズ可能な通知メカニズムであり、特定のセンサーが反応した際に、ユーザーにアクションを実行するよう促します。たとえば、SysTrack Engagementsを使うと、アップデートのために再起動が必要であることや、デスクトップのごみ箱を空にする必要があることなどをユーザーに通知できます。

ServiceNowとの統合

従業員の生産性に影響を与えるような問題が突然発生した場合、無駄にできる時間はありません。

これが、SysTrackがServiceNowとの統合を通じて、サポートチケットごとに詳細なエンドポイント情報を提供している理由です。

システム情報のスナップショット、アプリケーションの状態、ユーザーアクティビティのデータなど、ほんの少しのコンテキストを利用することで、ITチームは、根本的な原因分析を高速化し、解決にいたるまでの全体的な平均復旧時間(MTTR:Mean Time To Repair/Recovery)を短縮できます。

また、SysTrackのフィードバックアンケートやユーザーエンゲージメント、Self-Help IT Portalなどを通じて、ユーザーが詳細なServiceNowチケットをより簡単に提出できるようにしています。

これにより、どんな問題が起ころうとも、従業員は直ちに業務の生産性を回復できるようになります。

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