この度以下の内容のホワイトペーパー(日本語版)を公開させて頂きました。

このホワイトペーパーでは VDIにおけるユーザーのグラフィックニーズの進化に関する調査結果をまとめていますが非常に興味深い内容となっていますのでこのブログ記事でも改めて紹介させて頂こうと思います。

昨今のワークスペース環境の変化によるグラフィックニーズの高まりだけでなく、このパンデミックの中でのIT利活用の変化も色濃く反映される内容となりました。

SysTrack Community とは?

このホワイトペーパーでは、SysTrack Community を通じて行われた大規模な利用状況データに基づいて作成されています。

SysTrack Communityでは収集許可を頂いたユーザーの匿名の利用状況データを業種別に集計し、お客様の利用状況をVisualizer で比較できるようにするためのものです。お客様を特定しうるインストールパッケージ、マシン機種、IP、ユーザー名、マシン名、Web履歴などの情報は収集されません。

非常に大規模な情報からの分析を行えるため、業界ごとのIT利活用の変化などが見られるため、今回の調査でもこのデータを利用して分析を行っています。

ユーザーエクスペリエンススコアは変化したか?

SysTrackは多数のメトリックから13項目を選んでこのメトリックの問題がどの程度あったのかをユーザーエクスペリエンススコアとして評価しています。

詳細については『ユーザーエクスペリエンスをどのように分析するか』の記事をご参照ください。このスコアは端的に言うと「PCを利用している時間のうち生産性に影響が無かった時間の割合」を示しています。

もちろん100%だったらベストなのですが、お客様毎に種々の問題があってこのスコアは変化しています。

このスコアを分析してみると、2019年から2020年で約5ポイント減少していることが分かってきました。

5ポイントと言われてもよく分からないかもしれませんが、これは週40時間とすると1週間で2時間程度の影響を受けている事になります。

間違いなくこれはリモートワークや在宅勤務の影響と考えられますが、VPN回線やリモートアクセスの増加などで少なくともパンデミック1年目はIT環境に取って課題を残した1年だったと言えるのではないかと思います。

もちろんリモートワークの活用やペーパーレス化の促進などこれを契機にDXを推進し、業務プロセス全体が最適化された会社も多数あったと思うのですが、エンドポイントの健全性までは手が回らなかったのではないかと思います。

グラフィックニーズの継続的な高まり

2020年もグラフィックニーズはこれまで通り高まっています。詳細はホワイトペーパーを見てほしいのですが、2020年も週当たりのグラフィック利用時間は30%近く増加しています。

「これまで通り」と聞くと特に興味も沸かないかもしれませんが、私は個人的にはそろそろ平準化(あまり増えないか微増にとどまるような変化)していくのではないかと予測していました。

これはWindows 7からWindows 10への移行が一段落している2020年では移行のピークだった2019年ほどの増加は無いのではないか?と言うような結果も出るのではないかと思っていました。

結果として2020年も大幅に増加しているのを見ると、現時点ではOfficeやWindows 10のアップデートも継続的にグラフィックニーズが高まっていく状況が続いていると考えられます。

更に興味深いのは仮想デスクトップ環境でもグラフィックニーズが増加していく傾向が続いており、グラフィックカードが無い環境が多い仮想デスクトップでは結果としてCPUに負担が増していることを示しており、昨今のアプリケーション環境はGPUが前提になりつつある状況を示しています。

マルチモニターの増加

これは必ずしもパンデミックと関係があるわけではないのかもしれませんが、SysTrack Communityのインベントリ情報を見るとマルチモニターの設定件数が増加している傾向もはっきり確認できています。

ユーザー当たりのモニター平均台数が1.78台となっています。仮想環境などで1台に縛られている環境もある事を考えると、マルチモニターの割合はますます高まっていると考えられます。

想定通り金融セクターの割合が一番高いのですが、金融セクターでは2020年では減少しており、この点についても考察が行われています。

これは仮想デスクトップ環境においては、帯域の増加やグラフィック利用量の増加に直結する変化です。

興味深いのはモニター数とユーザーエクスペリエンススコアに相関があるのか?と言う相関分析が行われている点です。

ユーザーエクスペリエンススコアは前述した通り特定の指標から算出されるため、モニターが狭かったり広かったりすることによって上下するような指標ではないはずなので相関が無いはず、と考えるのが自然です。

しかし、Communityのデータからは非常にわずかながら正の相関が見える結果となっています。

在宅勤務でシングルモニターになってしまっているような環境の方は是非生産性向上の観点からも在宅用のモニター支給などを検討して頂ければと思います。

ビデオ会議の増加

これはデータを取るまでもなく自明な事ですが、飛躍的なビデオ会議アプリの利用増加が確認されています。

今となってはVDI環境でWEB会議利用を禁止しようと言う考え方も難しくなってきました。これは2-3年前にそのような想定でVDI環境を構築した環境が岐路に立たされていることも意味しています。

Teams/Skype/Zoom などではVDIに特化したオフロード技術も出てきていますが、グラフィックによるCPUオフロードのメリットが出やすくなってきていることも意味しています。

ビデオ会議はVDI環境ではサーバーに集中的な負荷や帯域増加をもたらすため、インフラ影響を考えると出来れば禁止したいアプリケーションの利用形態の一つではないかと思います。

しかし、Web会議の増加が避けられなくなっている昨今ではビデオ会議などを要件から外すとVDI自体が利用されなくなるようなリスクもはらんできているのではないかと思います。

今利用できない環境は一度どのような増強をしたら利用可能になるか、グラフィックカードの増設も含めて一度検討されてみてはいかがでしょうか。

ざっくりホワイトペーパーのヘッドラインを紹介しましたが、具体的なデータなどは是非実際にホワイトペーパーをダウンロードして読んでいただければと思います。

参考
ホワイトペーパー原文
How GPUs Accelerate Work-From-Home Productivity