サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社内で構築・運用するオンプレミスから、外部に構築されたサーバー環境であるクラウドへ移行する企業が増えています。クラウドへの移行を進めた企業はどのような点が主な移行理由になったのでしょうか?
今回は、クラウドへ移行する主な理由や移行時の課題、クラウド化を実現するための移行ステップを解説します。クラウド移行を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

クラウドへ移行する主な理由

オンプレミスからクラウドへ移行する理由としてまず挙げられるのは障害や災害発生時の回復性の高さです。オンプレミスの場合、基本的に自社で対策をとっておく必要があり、実際に障害や災害が発生した際は自社で対応しなければなりません。しかし、クラウドであればそれらはすべてクラウド事業者が行うため、復旧を待つだけで済みます。

次に挙げられるのがコスト面です。オンプレミスでは後から容量を追加するには機器の更改が必要になるため、あらかじめ想定容量を試算したうえで設置しなければなりません。そのため、はじめのうちは容量が余り続けることとなり、無駄が多くなってしまいます。クラウドであればその時に必要な容量だけを利用できるため、コストの削減が可能です。

クラウド移行する際の課題

クラウド化の良さは理解しているものの、なかなか踏み切れないという企業も少なくないでしょう。知識やスキルの不足から使いこなせないのではないか、何から手をつけたらいいのかわからない、といった漠然とした不安だけでなく、セキュリティ面でのリスクを懸念する場合もあります。
機密データをクラウド化することに対して社内で意見が上がり、移行が進まないといった企業もあるようです。しかし、こういった課題は移行までのプロセスをしっかりと組むことで解決できる場合があります。

クラウド化を実現するための移行ステップ

クラウド化へのプロセスは、何をどこまでクラウド化するのかといった「事前調査」、実際に移行する際の具体的な方法の設定などの「計画と準備」、切り替え後の連絡体制の構築や不測の事態の想定といった「移行作業」の3つのステップに分けられます。最初に全体像とステップごとの作業を明確にしておくことで着地点が明らかになり、混乱やモレを防ぐことにつながります。
では、それぞれのステップについて細かくみていきましょう。

ステップ1.クラウド移行に伴う事前調査

まずは1番目のステップである事前調査について解説していきます。事前調査の段階で必要になるのが「ゴール設定」「情報の整理と棚卸し」「移行対象の選定」「実機調査」です。

ゴール設定

クラウド化を進めるにあたって大切なのが、ゴールの設定です。企業によっては社内でクラウド化に反対する意見も出るでしょう。そんな時に、ゴールの設定があやふやなままだと余計な反発を生んでしまいます。
「オンプレミスから移行する理由」「何をどこまで移行するのか」「いつまでに移行するのか」これらをしっかりと考え、最終的な着地点を明確にしておく必要があります。

情報の整理・棚卸し

次に必要となるのが情報の整理と棚卸しです。
クラウドへ移行させるシステムのドキュメントやハードウェア資産、ソフトウェア資産を把握しましょう。サーバーやシステムへアクセスするためのログイン情報や秘密鍵も対象となるので注意が必要です。実際に業務を行う部署などの社内関係者はもちろん、外部の委託先や連携している外部のサービスなどがある場合には担当者についてもリストアップしておくとよいでしょう。
また、レンタルサーバーを借りているなどの場合は解約手続きを進めなくてはなりません。クラウドへの移行が完了し、問題なく稼働できることが確認できるまでは並行運用することが一般的であるため、期間の見極めが大切です。条件によっては早めの準備が必要になるため、規約の確認をしておきましょう。

移行の対象を選定

情報の整理と棚卸しが終わったら、次は、移行するシステムの選定に入ります。システムを丸ごと移行するのか、一部だけでいいのかといった範囲はもちろん、複数のシステムを移行するならどの順序で行うのかなども決めなくてはなりません。順序に関してはビジネスへの影響度や業務課題、担当者の状況などを踏まえたうえで決めていくとスムーズです。
また、PoC(Proof of Concept(概念実証))を兼ね、比較的利用者の少ないシステムから移行を始めれば先行事例が得られ、規模の大きいシステムを移行する際の注意点を知ることができます。

実機調査

ステップ1の最後は実機調査です。CPUやメモリなど急いで追加したものの、管理ドキュメントが更新されておらず、実機のOSが現行よりも新しかった、というケースは珍しくありません。実機調査をせずに移行計画を進めるのは危険です。環境の概要を把握するため、管理ドキュメントの内容が合っているかの確認をするなど、必ず実機調査を行いましょう。
実機の状態を基準として、今後移行計画を進めるとともに、各種設定の棚卸しなども行っておくとより安心です。

ステップ2.移行計画と準備

2番目のステップは具体的な移行計画の立案とその準備です。この段階では「クラウド移行の方法設定」「データ移行計画の検討」「社内外との連携」「マイルストーンの設定」が必要になります。

クラウド移行の方法設定

2番目のステップでまずすることは、システムごとの移行方法の決定です。プライベートIPは専用線やVPNの通信が必要になることを踏まえ、既存の環境と別にしておく、移行作業で一時的に必要になる環境やリソースの手配をしておく、といったことを決めておくとその後の進行がスムーズになります。

データ移行計画の検討

次は、どんな時に、どんなデータを、どういった手段で移行するのかといった移行計画の検討に入りましょう。移行しなければならないデータを最新の状態のままで移行させる、というのがこの移行計画の目的ですが、システムの切り替え以外でもデータの移行が必要になる場面がないとは限りません。そのため、いつ、どんなデータを、どのように移行させるのかという観点から整理すると検討しやすくなります。
この時、データの量も考慮しなければなりません。あまりにもデータ量が大きい場合には配送手段も検討しなければならず、専用回線を用意するとなると手配が必要です。データ量によっては転送時間を考慮したスケジュールを組まなくてはならなくなるので注意が必要です。

社内外との連携

次は、社内外との連携調整を行いましょう。外部と連携しているシステムやサービスが移行対象の場合は、切り替えタイミングの調整が必要になります。連携のためにデータ処理は日常的に必要で、メンテナンスの際は事前告知が必須です。連携テストを行う際も、移行後の環境とつなげてもらえるよう、アクセス許可をもらわなければならず、早めの調整が必要です。
また、社内の業務調整も行わなくてはなりません。複数の部署でコンテンツの更新を行っている場合などは影響が出ないよう、更新スケジュールの確認をしておきましょう。

マイルストーンの設定

最後はマイルストーンの設定です。どんなに綿密な計画を立てていても、移行作業にはトラブルが発生してしまうものです。その度に作業が中断したり横道に逸れたりするので、どこまで進んでいるのか、予定からどれくらい遅れているのかといったことがわからなくなってしまいます。
そこで、作業をセットに分けて、基準となるマイルストーンを設定するのです。そうすることで作業の進行度が可視化でき、トラブル対応もスムーズになります。

ステップ3.移行本番の切り替え

最後のステップは、いよいよ移行本番の切り替えです。「連絡体制の構築」「移行時の作業ステップ」「不測の事態の想定」「要員計画について」この4つを解説していきます。

連絡体制の構築

システム切り替え当日、まずは、あらゆる事態を想定し、連絡体制を整えましょう。どんなトラブルが起こっても対処できるよう、作業に関わる担当者の連絡先や連絡手段、連絡のつきにくい時間帯などをリストアップしておきます。トラブルが起きなくても、作業の進捗状況を通知するなどの情報共有を行うことをおすすめします。

移行時の作業ステップ

次に行うのが作業ステップのまとめです。切り戻しの判断となる基準やタイミングの設定は特に重要で、連絡を取り合うタイミングとセットで決めると業務への影響を最小限に抑えられます。

不測の事態の想定

次は、想定できるトラブルやイレギュラーな事象についての洗い出しを行いましょう。不測の事態を想定しておくことは切り戻しの判断ポイントにもなり、切り替え作業を確実に進めるために必要なプロセスです。

要員計画について

最後は要員計画の立案です。作業完了後にトラブルやイレギュラーが発生した場合に備えた要員は必須です。その際は当然ながら、利用者からの問い合わせなども予想されるので、なるべく分業できるような余裕のある要員計画を立てることをおすすめします。

クラウド化と同時に業務プロセスの評価を!

オンプレミスからクラウドへ移行しても、それで終わりではありません。システムに対する理解やパフォーマンスの変化など、クラウド化した後にも課題はあります。
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クラウドへ移行後の分析を定量的に行いたい、感覚だけに頼らず機械的に且つ的確に行いたいといった企業は、SysTrackの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

オンプレミスからクラウドへの移行ステップについて、その手順とポイントをみてきました。自社運用により外部からの影響を受けないオンプレミスは、セキュリティ面で心強いものの、運用面の効率化やコストの削減などの側面からクラウドへの移行を積極的に検討する企業が増えています。
しかし、機密情報などを含むデータの移行は慎重に行わなくてはなりません。クラウド化を実現するためにはいつくものプロセスをこなし、着実なステップのもとに進めていく必要があります。
スムーズにクラウドへ移行するためにも、サポートツールを必要に応じて取り入れながら、適切な手順を踏んで行いましょう。