「働き方改革」と聞いて、その意味をまったく知らないという人はもはや皆無でしょう。この取り組みを推進する安倍晋三内閣は、2016年9月2日に行われた働き方改革実現推進室の開所式において以下のように述べています。

”世の中から『非正規』という言葉を一掃していく。そして、長時間労働を自慢する社会を変えていく。かつての『モーレツ社員』、そういう考え方自体が否定される。そういう日本にしていきたいと考えている次第であります。人々が人生を豊かに生きていく。同時に企業の生産性も上がっていく。日本がその中で輝いていく。日本で暮らすことが素晴らしい、そう思ってもらえるような、働く人々の考え方を中心にした『働き方改革』をしっかりと進めていきたいと思います。”
出典:働き方改革実現推進室看板掛け及び訓示

政府主体で進められる働き方改革はこうした、誰もが自由に活躍できる社会に向けた取り組の一環だとされています。しかしながら、企業の働き方改革は労働生産性向上ですとか業務効率化といったビジネスに直結するような取り組みを指しています。

今回はそんな働き方改革についてより詳しく説明し、生産性を向上するポイントをご紹介します。

働き方改革とは?

改めて働き方改革について説明していきたいと思います。近年「働き方改革」という言葉をよく見聞きするようになりましたが、その意味を明確に理解している方は少ないかと思います。まずは働き方改革とは何かを整理してみましょう。

働き方改革とは安倍晋三内閣主体で推進する「一億総活躍社会」に向けた取り組みの1つであり、ワークスタイルを変革したり、ワークライフバランスを整えることで、老若男女誰もが活躍できる社会を作るためにあります。

多くの方が働き方改革と聞くと、労働生産性向上とイコールで考えることが多いですが、実際のところは単に労働生産性を向上するためだけのものではありません。

今年6月29日には働き方改革への取り組みが始まって以来初となる「働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が成立しました。内容としては「罰金付きの残業時間規制」や「同一労働、同一賃金」、それと「高度プロフェッショナル制度」が主体となっています。

働き方関連法案について

働き方関連法案の3つの柱である「罰金付きの残業時間規制」「同一労働、同一賃金」「高度プロフェッショナル制度」についてもう少し説明します。

罰金付きの残業時間規制

原則として残業は1ヵ月45時間未満、1年では360時間未満という規制があります。この時間を超えて残業させることは法令違反となり罰則の対象となります。しかし、例外処置が存在することでこの残業時間規制がほとんど意味を持たなかったのが今までの深刻な残業問題です。場合によっては1日100時間以上の残業を課すこともできたので、それによって過労死する人も続出しました。

働き方改革関連法案では「1ヵ月45時間、1年間360時間」という残業時間規制が明確化され、これを超えて労働させた場合は罰則があるため法的拘束力を持つようになりました。

同一労働、同一賃金

「同一労働、同一賃金」は同じ労働をしている人に対して同じ賃金を支払おうという制度ですこの制度では正規社員や非正規社員のなどの雇用形態に関係なく、業務内容に応じて賃金を決めるという制度です。勤続年数や成果および能力が同じならば、給料を同額にする必要があり、さらに休暇や教育制度といって待遇面も同じにしなければなりません。

これは不合理な労働格差を生まないための制度であり、日本では、人件費削減や雇用の調整弁として派遣社員や契約社員などの非正規社員が使われてきました。ただし、無条件ですべての待遇が同じになるわけではありません。

高度プロフェッショナル制度

「高度プロフェッショナル制度は年収1,075万円以上の高いスキルを持つ従業員を、労働時間の規制から外すという制度です。一般的には研究職やコンサルタント、アナリストなど専門性と年収が高い職種が該当します。

大企業の場合、通勤手当の上限が高く新幹線通勤をしている人も少なくありません。厚生労働省では高度プロフェッショナル制度で規定している年収ラインの中には、通勤手当も含まれるという見解を示しているので、新幹線通勤をしている人は実質的な年収はラインに到しなくても制度に該当してしまう可能性があります。

生産性向上のポイントとは?

では具体的な生産性向上のポイントについてご紹介します。

働き方改革のコンセプトを決める

働き方改革と一口に言っても様々な取り組みがあります。これを決定するにはまず最初に「何の目的で働き方改革を目指すのか?」を明確にすることが大切です。いわゆるコンセプトの決定です。これを最初に決定する理由は、どんな働き方改革を目指すかによって取り組み方が大きく変わるからです。

働き方改革に向けて取り組み

働き方改革の代表的な施策は「リモートワーク」でしょう。本社オフィスとは別の場所(コワーキングスペースなど)でも同じように仕事ができる環境を整えるサテライトオフィスや、完全在宅勤務型のテレワークなど、各企業がそれぞれの環境に応じて最適なリモートワーク環境を整えています。

リモートワークの利点は従業員の移動時間が大幅に圧縮されるため、その分の時間を有意義に過ごすことができ、最終的にそれが労働生産性に繋がるということです。たとえば完全在宅勤務型のテレワークならば通勤時間が丸々削減されるため、従業員は朝はゆっくりと支度をしたり、夕方は家族との時間を確保して有意義に過ごすことができます。つまり従業員のワークライフバランスを整えることで、それが結果として労働生産性向上として還ってくるというわけです。

もちろん皆さんの働き方改革が必ずしもリモートワークである必要はありません。場合によってはMDM(モバイルデバイス管理)を活用したBYOD(私用端末持ち込み)なども取り組みの1つとして活用されています。また、リモートワークからのセキュリティ確保のために仮想デスクトップ環境を用意する企業もあります。

ITツールを積極的に使用する

働き方改革というアプローチで生産制を向上するためにはITツールの利用が欠かせません。労働生産性を大幅に向上するためにはITツールは必要であり、欠かせない存在です。働き方改革で使用できるITツールについてご紹介します。

コラボレーションツール(グループウェア)

コラボレーションツールまたはグループウェアは、組織全体のコミュニケーションを促進するためのITツールであり、働き方改革実現に向けた基本的なITツールとして位置づけられています。

MDM(Mobile Device Management)    

MDMは組織が従業員に対して貸与したスマートフォンやタブレットを一元的に管理するためのITツールです。近年、ビジネスパーソンが社用のスマートフォンやタブレットなどのデバイスを複数所持することが当たり前になっており、企業としては管理すべきデバイスが増大しています。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)

日本語では「デスクトップ仮想化」もしくは「仮想デスクトップ」といって、本来はパソコン内部に存在するデスクトップ環境を丸ごとサーバーに移動し、複数のデスクトップ環境を一元管理するためのITツールです。通常はサーバーに仮想化ソフトウェア(VMwareやCitrixなど)をインストールし、サーバー上に作った複数の仮想マシンにOSやアプリケーションといったデスクトップ環境を丸ごと移動、または構築します。

ERP(Enterprise Resource Planning)

ERPとは企業経営に欠かせない基幹系システムと、業務プロセスの効率化等に効果を発揮する情報系システムを複数統合した大規模なITツールです。財務会計システム、生産管理システム、顧客管理システム、人事管理システムなどいくつかの基幹系システムを統合することで、システム同士のデータ連携をスムーズにして組織的な業務効率向上を目指すことができます。また、最近ではクラウドERPが主流になりつつあり社員はいつでもどこからでも業務プロセスを遂行することが可能です。

RPA(Robotic Process Automation)

労働生産性向上の最適解として今最も注目されているのがRPAです。RPAはパソコン上の作業を自動化するためのロボットソフトウェアであり、ユーザーが作成してプログラムに従って自動化作業を実行します。
RPAが自動化する範囲は、パソコン上で行われる操作のほとんどすべてです。Excelに搭載されているマクロ機能はデータ処理作業を自動化できますが、それはあくまでExcelシート内の話です。出力したPDFファイルをクラウドストレージにアップロードしたり、関係者全員にメールで共有するといった使い方はできません。

タレントマネジメントシステム

企業に対する従業員のエンゲージメントが高いとほど労働生産性は自然と高くなり、ビジネスで生まれる付加価値の数も大きくなります。そのためタレントマネジメントシステムで人材の適材適所を実現し、従業員にやりがいのある仕事を与え続けられます。

いかがでしょうか?働き方改革実現に向けた取り組みは色々とありますし、何を選択するかによってその効果が大きく違います。

働き方の検証が重要

そして、最も重要なポイントが社員の働き方の実態を把握することです。Lakeside Softwareが提供するSysTrackでは「働き方に見える化を実現したい!」というお客様のためのソリューションを提供しています。提供される「働き方ダッシュボード」を確認すれば従業員の状態を確認することが可能です。

参考記事:働き方改革とSyTrack(その1)

今回ご紹介したポイント等を含め、自社に最適な働き方改革について考えてみてはいかがでしょうか。

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