この頃 ITモダナイゼーションと言う言葉をよく耳にするようになったと思います。本稿では「ITモダナイゼーション(Modernization)」について解説します。

ITモダナイゼーションとは、古くなったIT資産(レガシーシステム)を最新技術に対応させ、近代化を図ることを指します。例えば社内のWindows 7環境を最新のWindowsへ刷新したり、旧世代のレガシーERPを最新のクラウドERPに刷新するなどが該当します。

ITモダナイゼーションはなぜ注目されているのか?

ITモダナイゼーションは、企業の戦略で行うものと否応なしに行わざるを得ないものの2種類が存在します。以下はITモダナイゼーションを行うべき代表的な事象を6つのポイントで紹介します。

1. テクノロジー

  • ベンダーが新たなプラットフォームやOSに対して投資をしない
  • ユーザー数が少なく、採算性が低いためベンダーがライセンス費用を上げている
  • 市場が小さいため他製品へのマイグレーション(移行)ツールが存在しない
  • OSおよびミドルウェアが業界標準に対応していないために、他のプラットフォームとの互換性が無い
  • 過去のセキュリティ対策のみで防御力が弱い

2. アプリケーション資産

  • システム稼働時は最新状態だったが、保守運用で体制が縮小したためにシステム維持が困難
  • アプリケーションのロジックが古すぎて現状ビジネスにマッチしない
  • 追加仕様に対応するために、多大な工数が発生する
  • 要件変更に対する影響調査を人が行うため、手間と時間がかかり過ぎる
  • 設計書などが残っておらず修正が困難

3. ヒューマンリソース

  • ドキュメントが存在せずプログラムのソースコードが唯一の情報であるため属人的になりやすい
  • メインフレームの言語を読み書きできるエンジニアが退職したため、保守運用が困難になる
  • 旧式のテクノロジーの習得に対するモチベーションが低い
  • 新人社員のキャリアを考慮した際に、旧式テクノロジーを長期経験させられない
  • 開発経験が少ないまま保守運用を担当するため、システムの設計思想を理解するまでいたらずユースケースまで想像力がおよばない。したがって、システム全体を見るための視点を養えない
  • 圧倒的に少ないリソースのため既存の保守に限界がある

4. ビジネスモデル

  • 各業界でビジネスモデルの変革が起きつつあるが、レガシーシステムでは対応できない
  • IT資産をフル活用したサービタイゼーションを実現できず、競合他社からビジネスモデルの面で一歩遅れる
  • 顧客ごとに最適な商品・サービスを提供するカスタマイゼーションに対応できない
  • 分断されたシステムで業務プロセスの合理化ができない

5. ハードウェアサポート

  • 2020年にMicrosoft Windows 7とWindows Server 2008の延長サポート終了期限が迫っている
  • ハードウェア自体のサポート終了が間近に迫っている
  • もやは交換部品の生産がストップしている
  • サポート停止を機に既存のIT資産の見直しが求められている

6. 最新テクノロジー

  • AI(Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)、ブロックチェーンなどに普及している最新技術に対応できない
  • 爆発的なデータ量増加に追従できていない
  • クラウドコンピューティングと連携した「ハイブリッドクラウド」による柔軟性の高いインフラが求められている
  • モバイル対応できていない

以上のように、レガシーシステムには多くの問題が残されており、古いIT資産を抱えている企業では今後どういった対応をするかによって、ビジネスの生産性や成長速度が大きく変わってきます。

ITモダナイゼーションを実行するための3つの方法とは

では、レガシーシステムの問題を解消しようとITモダナイゼーションを実行するには、具体的にどういった方法があるのでしょうか?
以下に代表的な3つの方法を紹介します。

1. リプレース

リプレースは既存の独自システムやパッケージソフトウェアからなる現行のレガシーシステムを、新しいパッケージソフトウェアなどへと移行する方法です。新しいIT資産を構築するためコストと負荷はかかりますが、環境変化に伴う業務プロセスの見直しなど抜本的な業務改革に有効的な方法です。

<メリット>
IT資産の抜本的見直しを行うことで、新しいビジネスモデルへの対応や、今までとはまったく違った業務プロセスを構築でき、非常に高い生産性向上・業務効率化を得られる可能性がある

<デメリット>
IT資産の抜本的な見直しに伴う初期投資の増大と、業務プロセスの見直しによってプロジェクトが長期的になり、コントロールが難しい面がある

2. リライト

リライトとは古い開発言語を新しい開発言語に書き換える手法です(たとえばCOBOLから.NETやJavaなど)。レガシーシステムにおける既存機能や仕様はそのままに、新しい開発言語に移行することでリプレースにかかるコストを抑えることができ、最新技術への対応も可能にします。レガシーシステムにおいてカスタマイズを大量に行っている環境に有効的です。

<メリット>
既存のITリソースと技術者を活かしつつ、まったく新しいIT資産を構築できるためリプレースよりもコストを抑えて新しいビジネスモデルへの対応や、最新技術の搭載が可能になる

<デメリット>
適切なリライトのためには、まず既存システムのドキュメントがきちんと管理されている必要があり、かつ開発に携わった技術者も必要になるため要件としては最も厳しくなる可能性がある

3. リホスト

サーバーやOS、ミドルウェアといったITインフラを刷新したり、仮想化技術に対応したりする方法を指します。レガシーシステムの延命措置として採用されることが多く、ハードウェアなどの保守サポート切れに対応できコストも抑えられるので、選択肢としてあがりやすい方法でもあります。特にクラウドコンピューティングを採用したリホストが最近では多く、ITインフラをクラウドへ置き換えることによって災害時等のBCP(Business
Continuity Plan:事業継続計画)や運用コストの低減にも繋がります。

<メリット>
クラウドコンピューティングにおけるITインフラの調達は非常に容易なため、迅速かつ正確に柔軟性の高いITインフラを用意でき、コストの適正化やBCP策定なども行いやすなる

<デメリット>
レガシーシステム自体をリプレース/リライトするわけではないため、クラウドコンピューティングを採用してもソフトウェア面のIT資産は古いままとなり、場合によっては新しいビジネスモデルや最新技術に対応しづらい

上記の例は組み合わせて行うことも考えられますが、それぞれの方法には一長一短があるため、どの方法が最適かは既存のITシステム環境によって異なるためよく考える必要があります。

ITモダナイゼーションと同時に業務プロセスの改革を!

IT資産は上手に活用してこそ意味があリます。つまり、ITモダナイゼーションを実行してもシステムを使う側がそれに対応できないと、いくらレガシーシステムを刷新してもその効果を最大限引き出すことは難しいでしょう。従って、ITモダナイゼーションと同時に業務プロセスの改革を行い、抜本的に見直すことで新しいIT資産に対応した、新しい業務プロセスを構築していくことが重要です。

Lakeside Softwareが提供する「SysTrack」は、IT資産の利用状況を全体的に可視化し、システムパフォーマンスの確認から分析、改善、ITコストの適正化等を実現するためのソフトウェアです。ITモダナイゼーションを実行する際は、現状を把握することが必要不可欠ですし、移行後は利用状況を把握することでシステムを安定的に運用することが可能になります。ぜひ、「SysTrack」をご検討ください。

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