近年、あらゆる業界でデジタル技術の活用による業務改革「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実現が急務とされています。DXを実現するために重要な経営課題となるのが、PCの運用管理を最適化する「PCライフサイクルマネジメント:PC-LCM」です。

本記事ではPCライフサイクル マネジメントの概要や導入メリットに触れつつ、具体的な作業内容について詳しく解説していきます。

PCライフサイクル マネジメント(PC-LCM)とは

PCライフサイクル マネジメントとは、企業にとって重要な経営資産であるPCの購入から廃棄に至るまでの、全ライフサイクルを最適化する管理手法を指します。企業にとって最も重要な経営課題のひとつは利益の最大化です。そして利益を最大化するためには、売上高の増加だけでなく、いかにコストを削減するのかが求められます。

PCは購入費用だけでなく維持費や管理費もかかり、最終的には廃棄費用も必要です。この購入から廃棄に至るまでに要するコストの総額を「TCO(Total Cost of Ownership)」といいます。インターネット社会となったいま、現代ビジネスにおいてPCは必要不可欠な情報端末です。そのため企業のPC導入数は年々増加の一途を辿っており、一台あたりのTCOは年間約120万円になると試算されています。

PCの運用管理に必要なTCOは多岐にわたり、初期導入コストや運用管理コスト、品質管理コストや日常経費などが挙げられます。利益の最大化を目指すにあたり、TCOの削減は非常に重要な経営課題です。そのため、PCの購入費用のみならず、導入後の管理費用や廃棄費用まで考慮した効率的な運用管理が求められます。それがPCライフサイクル マネジメントの導入目的であり、企業経営における役割です。

PCライフサイクル マネジメント導入のメリット

PCライフサイクル マネジメントは、さまざまなメリットを享受できる管理手法です。たとえば、総保有コストの削減やPCを活用した業務の可視化、トラブル対応窓口の一本化などがメリットとして挙げられます。ここではPCライフサイクル マネジメントの導入メリットについて詳しく解説していきます。

PCを活用した運用業務の可視化が可能

PCライフサイクル マネジメントを細分化すると「調達」→「導入」→「運用」→「廃棄」という一連の流れが存在します。この調達から廃棄に至るまでのPCライフサイクルを一元管理することで、PCを活用した運用業務を可視化することが可能です。運用業務における課題抽出から改善の定義を行い、PC業務の効率化を促進することで、結果としてTCOの削減につながります。
企業経理において大切なのは、部分最適でなく全体最適です。PCライフサイクルマネジメントによって、PCを活用した運用業務全体を俯瞰的に捉えられるため、経営戦略の全体最適に寄与します。

PCに関するトラブル対応の窓口の一本化

PCライフサイクル マネジメントを導入することで、PCに関するトラブル対応の窓口の一本化が可能です。たとえばPCのメーカーが混在していたり、アプリケーションが統一されていなかったりすることで保守業務が煩雑化し、トラブル時の対応に多くのリソースを必要とします。それぞれにサポート窓口や仕様が異なるため、PCの故障時にスピーディーな対応が困難となるでしょう。PCライフサイクルマネジメントによってIT資産を一元管理することで、メーカーやアプリケーションを統一し、情報システム部門のサポート業務を軽減してコア業務に多くのリソースを割ける業務体制を構築します。

運用業務や監査対策

PCライフサイクル マネジメントは、IT資産に関するさまざまな情報を一元管理する手法です。IT資産管理の可視化により、日々の運用業務や内部監査などにも的確な対応が可能になります。
PCやサーバー機器などITシステムの運用において、非常に重要なウェイトを占めるのがセキュリティ管理です。情報漏洩は企業の社会的信用を失墜させかねないため、多くの企業がシステム監査制度および情報セキュリティ監査制度を設けています。PCライフサイクルマネジメントは、情報セキュリティ管理基準の準拠と強化に寄与するため、監査対策としても貢献します。

PCライフサイクル マネジメントの作業内容

PCライフサイクル マネジメントの作業内容は主に5つのフェーズに分類されます。それが「企画・設計」「調達」「導入」「運用・保守」「消去 ・廃棄」の5つです。ここではPCライフサイクル マネジメントにおける具体的な作業内容について解説します。

企画・設計

PCライフサイクル マネジメントにおける最初のフェーズは「企画・設計」です。企業規模や事業戦略を考慮しながら、組織全体におけるPCの必要台数を算定します。そしてPCの購入から廃棄に至るまでに必要となる、さまざまな運用管理コストを中長期的な観点から洗い出します。

たとえばIT機器の導入において、コスト管理に大きな影響を与えるのが減価償却期間です。PCは4年、サーバーなら5年と、税制上の減価償却期間が明確に定められています。こうした税制なども考慮しつつ、PCの運用管理における年間スケジュールを作成します。

調達

PCやサーバーなどのIT機器を調達する際は、主に2つの選択肢があります。それは「購入」か「レンタル」という選択肢です。購入のメリットは所有権が自社にあり、性能の限界まで使用し続けられるため、長期的な観点から見れば割安といえます。デメリットは多額の購入費用が必要になる点と、固定資産として計上する必要がある点です。

レンタルであれば経費扱いになるため、固定資産税が発生せず、節税につながります。またレンタル機器は定額制のため、必要コストが可視化しやすいのも大きなメリットです。しかし、長期的に利用する場合は購入するよりも支払総額が高くなったり、状況によっては解約する際に違約金が発生したりといったデメリットが発生します。自社の企業規模や経営戦略を考慮し、十分に吟味したうえで調達する必要があるでしょう。

導入

PCにOSやアプリケーションのインストールと設定を実施するフェーズです。最初の企画・設計に基づき、機器の設置から動作確認、従業員への操作教育、セキュリティ管理、ネットワーク接続、データ移行などを実施します。データの移行時に何らかのトラブルが発生した場合、基幹情報の消去や破損につながる可能性があります。そのため、万が一の事態に備えたバックアップの作成が必須です。

データ移行後はシステムが正常作動するかを確認し、アプリケーションの連携やデータの受け渡しに不備がないかをチェックしましょう。導入プロセスに不備があれば、その後のあらゆる業務に支障をきたします。したがって、企画段階における明確な要件定義、そして各担当部門との綿密な打ち合わせが重要です。

運用・保守

主にソフトウェアやハードウェアの運用保守を行います。PCは企業にとって重要なIT資産であり、運用・保守の最適化はTCOの削減につながる重要な要素です。
作業内容としては、PC資産管理として、ハードウェア・ソフトウェアライセンス管理と、セキュリティパッチやソフトウェアのバージョン管理などがあります。ハードウェア保守作業では、機器の故障対応、障害の切り分けや復旧を実施します。ソフトウェア保守作業においては、運用上の障害対応やソフトウェアの保守、およびシステム全体のリカバリなどを行います。

また、運用・保守においてPCの標準化は工数削減に大きく貢献します。たとえばPCのメーカーが統一されていないと、システムエンジニアの管理業務の負担が増加し、コア業務の圧迫につながります。またメーカーが違えば保証やサポートも異なるため、運用・保守における工数増加を招く原因となるでしょう。社内PCを標準化して一元管理することで、運用・保守業務における大幅な工数削減効果を得られます。

消去 ・廃棄

PCライフサイクル管理の最終フェーズは消去・廃棄です。個人用PCと異なり、業務用PCは産業廃棄物扱いとなるため、メーカーに回収義務はありません。したがってメーカーに回収を依頼する場合は、PCリサイクルマークの有無に関わらず回収料金が必要です。その他には廃棄物収集運搬業者やパソコンリサイクル業者に依頼する方法もあります。

企業は産業廃棄物を適切に処分する義務があり、廃棄物処理法に違反した場合は罰則が科せられる可能性があるため注意が必要です。また情報漏洩インシデントを防ぐためにもデータの消去は必須であり、PCからHDDを取り外し、物理的に破壊するもの有効な方法です。データ消去の代行とデータ消去証明書の発行が可能なパソコンリサイクル業者も存在します。

まとめ

企業経営における最重要課題のひとつは利益の最大化です。利益を最大化するためにはコストの最小化と売上高の最大化が求められます。PCライフサイクルマネジメントの導入は、企業の発展に寄与します。
また、PCライフサイクル マネジメントはアウトソーシング可能な管理手法ですが、外注化はシステム導入に相応のコストを要します。そこでおすすめしたいのがレイクサイドソフトウェア株式会社の「SysTrack」の導入です。SysTrackは優れたワークスペースアナリティクスであり、PCライフサイクル マネジメントの最適化を実現します。SysTrackについての詳しい情報は以下のURLをご覧ください。

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