みなさんご存知の通りVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ)は、オペレーティングシステム、アプリケーション、データをサーバー上に集約し、処理を行う仕組みのことです。

従来、VDIはオンプレミス型が主流でしたが、VMwareやCitrixなどのベンダーが自社のVDIソフトウェアをAzureなどのクラウドで動作できるようにしたり、Microsoftも2019年10月よりAzure上で動作するVDIであるWindows Virtual Desktop(WVD)の提供を開始したりとクラウド環境におけるVDIが注目されています。

本稿では、Windows Virtual Desktop(WVD)およびVMware社が提供するVMware Horizon Cloud on Azureの概要や違いに関してご紹介します。

Windows Virtual Desktop(WVD)とは何か?

2019年9月30日に一般提供が開始されたWindows Virtual Desktop(以下、WVD)は、現在ではMicrosoftの公式ホームページよりサービス利用ができるDaaS(Desktop as a Services)の1つです。

DaaSとはいわゆるクラウドサービスの一種であり、通常は社内で構築するVDI環境をパブリッククラウド上に構築し、利用するというものです。WVDは、Microsoft Azure上でマイクロソフトが管理しており、Microsoft 365サービスやWindows 10、Windows 7を利用しているユーザーは、OSライセンスの追加コスト無しでサービスを利用できます

※Microsoft 365 E3/E5/F1/A3/A5/Business、Windows 10 Enterprise E3/E5/A3/A5、ユーザーあたり Windows 10 VDA 詳しくは、日本マイクロソフト社のWVDページをご確認ください。
上記の条件を満たしている企業であればWVDを利用することが可能ですが、Microsoft Azureの利用料金は別途かかることになるので注意が必要です。ただし、従来のVDI構築の概念からすると圧倒的に安価にVDI環境を利用することが可能になりました。日本マイクロソフトの公式ホームページによれば、予約インスタンスなどを利用する事によって従来の従量課金と比べて最大72%のコストを節約できると謳っています。

VMware Horizon Cloud on Azureとは?

VMwareが提供するVDIソフトウェアをMicrosoft Azure上で利用するホスティングサービスです。ユーザーはライセンス形態を自由に選択しながら、通常はオンプレミスで構築するVMware VDIをクラウドで構築し、要件に合わせた環境を利用できます。ただし、従来VMwareが提供しているソフトウェア製品Horizon 7とHorizon Cloud on Azureとは若干の機能差があるので注意が必要です。

Horizon 製品

  • Horizon 7:既存のデータセンターからオンプレミスの仮想/ホスト型のデスクトップやアプリケーションを提供できます。
  • Horizon Cloud Hosted:VMware マネージド パブリック クラウド インフラストラクチャから、クラウド ホスト型の仮想/ホスト型のデスクトップやアプリケーションを提供できます。
  • Horizon Cloud on Microsoft Azure:既存の Microsoft Azure インフラストラクチャから、クラウド ホスト型のデスクトップやアプリケーションを提供できます。それぞれの機能の比較はこちらをご確認ください。

オンプレミス型VDIとDaaSの違い

企業にとってVDIを構築するメリットは大きく、多くの企業はそれを認識しています。しかし、VDIを導入する際にオンプレミス型VDIにするか、DaaSにするかを悩んでいる方々も少なくありません。ここでは、オンプレミス型VDIとDaaSの違いをご紹介します。
 
<オンプレミス型VDIの特徴>

  • 自社独自の環境を構築することが出来るため、特殊用途に対応できたり大規模利用を想定した環境にも柔軟に対応できる
  • VDIソフトウェア、サーバーおよびコンポーネント、Windows OSライセンスなど環境を構築するためのあらゆる要素を調達する必要がある
  • 構築までにかかる期間が長く、イニシャルコストが発生する
  • 導入後の運用も全て自社で行う必要がある

<DaaSの特徴>

  • 環境に合わせた柔軟性は年々高まっているものの、オンプレミス型VDIに比べるとやはり柔軟さは低い
  • VDIソフトウェアとクラウドサービス利用料金を支払うだけで、VDIに必要なサーバーおよびコンポーネントなどの調達は不要
  • VDIインスタンスを構築するまでにかかる時間が非常に短く、Web画面上で環境を選択するだけで必要な環境を構築できる
  • サーバーおよびコンポーネント、Windows OSなどの管理をベンダーが行うことから、導入後の運用負担を大幅に軽減できる
  • ソフトウェアバージョンアップやOSアップグレードなどの費用はすべて含まれているため、想定外のコストが発生しない

このように、オンプレミス型VDIとDaaSとでは、VDIを構築するという点を除いては根本的に異なる部分が多く、それによって適した環境も用途も異なっていきます。前者は柔軟性が高く自社の要件に応えてくれるでしょう。しかし、導入にかかる費用や導入後の運用負担がかかります。クラウドのメリットを活かしたDaaSで自社の要件を満たせるのであれば、おそらくそちらの方が良いかもしれません。

Windows Virtual DesktopとVMware Horizon Cloud on Azureの違い

ライセンス形態の違い

2つのDaaSの決定的な違いの一つにライセンス形態にあります。WVDは前述したMicrosoft 365のサブスクリプションかWindows 10のライセンスを保有していれば、追加のライセンスコストは無しに、Microsoft Azureの利用料金のみでサービスを利用できます。それに対して、VMware Horizon Cloud on AzureはVMwareライセンスに加えてMicrosoft Azureの利用料金が必要になります。また、後者はライセンスの最小購買数が50ユーザーとなっていますので、それ以下の環境でDaaSを利用する場合はコスト高になる可能性があります。ただし、Horizon Cloud on Azureでは同時接続ユーザー数(利用ユーザーではない)のライセンス購入も可能であることも理解しておくべきでしょう。

WVDではWindows 7サポート期間延長

WVDでは同サービスを利用するユーザーに対してWindows 7の拡張セキュリティ更新プログラムの適用が可能になっています。Windows 7といえば2020年1月14日に延長サポート期間が終了することがアナウンスされており、多くの企業はその対応に追われています。MicrosoftはWVDを利用するユーザーに3年間の拡張セキュリティ更新プログラムを提供するため、現行としてWindows 7を利用しており、すぐにアプリケーションを刷新できない企業にとって、Windows 7 延命の有力な選択肢になります。

機能面の違い

機能面の違いに関しては提供され始めたばかりのWVDについては情報が少なく今後の動向を着目したいと思いますが、多くの企業が採用を検討している事実はありますし、機能も日々進化しているため両社の比較は難しいものになっています。
スペック表レベルの細かな話においては、Horizon Cloud on Azureは日本語化されたGUI管理ツールを提供しているのに対して、WVDは管理操作はPowerShellのみであったり、Horizon Cloud on Azureでは、Azureの日本リージョンで使えるのに対して、WVDでは管理プレーンの一部が日本のリージョンでは使えないなどの差はあります。しかし、将来的にはWVDはおそらくGUI化されますし、日本リージョンですべて動かすことも可能になるでしょう。

Office 365に最適化されたWVD

WVDとOffice 365を利用する場合、Microsoftのデータセンター間の高速バックボーンが使用されるため、Office 365利用が快適になる可能性があります。また、Microsoftでは独自にOffice 365 Pro Plusを最適化するための機能を提供しているため普段Officeを活用しながら業務を行う従業員は最適なエクスペリエンスで仕事を行える利点があるでしょう。そのほかにもOutlook などの検索インデックスをマルチセッション環境に最適化するなどVDI環境やマルチセッション環境でOffice 365 を最適に使えるようにするための最適化が行われています。

このように、同じDaaSであってもWVDとVMware Horizon Cloud on Azureにはいくつかの違いがありますが、それぞれ提供されるオプションや機能を確認し、自社の要件にあったものを選定することになります。また、VMware Horizon Cloud on Azure 上でもWVDのサポート予定を表明しており、現在Tech Previewとなっております。この場合にはコストはVMwareの利用料金とAzureの利用料金(+WVDに必要なOffice 365またはMicrosoft 365のライセンス)がかかりますが、現在 Windows 10 マルチセッションなどWVD固有の機能を使いながらHorizonの管理機能を使うことが出来るようになります。

企業は、オンプレミス型VDIを選定するか、DaaS型VDIを選定するか迷うところかもしれませんが、いずれにしろ設計、構築、運用は一般的なVDIの導入と同じプロセスを実施する必要があります。そこで必要なのは、設計段階での現状のアセスメントであり、導入後の運用監視です。SysTrackはDaaS環境においてもその価値を発揮します。クライアント環境に負担の少ないエージェントにより、導入前のアセスメントや運用開始後のトラブルシューティングに有益な情報をリアルタイムに収集しレポートします。ぜひDaaSやVDIの導入とあわせてSysTrackをご検討ください。

SysTrackによるアセスメントについては、こちらをご覧ください。

レイクサイドが実現する、Windows Virtual Desktopのためのデジタル エクスペリエンス モニタリング