
Windows 10 ProとWindows 10 Enterpriseの違いを解説

Windows 10のリリースから既に2年以上が経過し。またWindows 7のサポート終了を2年後に控え、多くの企業や組織でWindows 10への移行が本格化してきています。そこで、本稿ではビジネス向けのエディションであるWindows 10 ProとWindws 10 Enterpriseの違いを解説します。
旧バージョンからWindows 10への移行を検討している企業は、こちらも参考に各エディションの違いを把握し、適切な移行をご検討ください。
Windows 10 ProとWindows 10 Enterpriseを比較
まず大きな違いはライセンスです。Windows 10 ProはプレインストールでOEMの形態でも提供されますが、Windows 10 Enterpriseを利用するには企業向けのライセンスであるボリュームライセンスを追加で購入する必要があります。さらにこのEnterpriseのライセンスには2つのエディションがあります。Windows 10 Enterprise E3とWindows 10 Enterprise E5です。E3とE5の違いは、下記の表のとおりE5では追加のセキュリティ対策の機能が提供される点になります。マイクロソフトがホームページ(https://www.microsoft.com/ja-jp/WindowsForBusiness/Compare)で公開している情報をもとに、それぞれのエディションの比較表をご覧ください。
管理と展開
Windows 10 Pro | Windows 10 Enterprise E3 | Windows 10 Enterprise E5 | |
---|---|---|---|
MDM(モバイルデバイス管理) | ✓ | ✓ | ✓ |
AAD(Azure Active Directory)参加 | ✓ | ✓ | ✓ |
ドメイン参加 | ✓ | ✓ | ✓ |
MAM(モバイルアプリケーション管理) | ✓ | ✓ | ✓ |
共有PCモード | ✓ | ✓ | ✓ |
ビジネス向けWindows ストア | ✓ | ✓ | ✓ |
Windows Hello管理 | ✓ | ✓ | ✓ |
キオスクモード | ✓ | ✓ | ✓ |
Windows ストアアクセス管理 | ✓ | ✓ | |
CEM(コンシューマーエクスペリエンス管理) | ✓ | ✓ | |
コルタナ管理 | ✓ | ✓ | |
マイクロソフト動的管理 | ✓ | ✓ | |
App-V(マイクロソフトAplication Virtualization) | ✓ | ✓ | |
UE-V(マイクロソフトUser Environment Virtualization) | ✓ | ✓ |
セキュリティと識別情報
Windows 10 Pro | Windows 10 Enterprise E3 | Windows 10 Enterprise | |
---|---|---|---|
条件付きアクセス | ✓ | ✓ | ✓ |
Windows Hello | ✓ | ✓ | ✓ |
BitLockerおよびBitLocker To GO | ✓ | ✓ | ✓ |
Windows情報保護 | ✓ | ✓ | ✓ |
Direct Access | ✓ | ✓ | |
Direct Guard | ✓ | ✓ | |
Credential Guard | ✓ | ✓ | |
Windows Defender 脅威保護 | ✓ |
分析とサービスのサポート
Windows 10 Pro | Windows 10 Enterprise E3 | Windows 10 Enterprise | |
---|---|---|---|
Windowsアナリティクス | ✓ | ✓ | ✓ |
ビジネス向けWindowsアップデート | ✓ | ✓ | ✓ |
Windowsの基本機能
Windows 10 Pro | Windows 10 Enterprise E3 | Windows 10 Enterprise | |
---|---|---|---|
リモートデスクトップ | ✓ | ✓ | ✓ |
Windows To GO | ✓ | ✓ | |
BranchCache | ✓ | ✓ | |
マイクロソフトDesktop Optimization Pack | ✓ | ✓ |
各機能について解説
上記の比較表をより分かりやすくするために、ここでは重要な各機能について説明します。
MDM(モバイルデバイス管理)
ビジネスでのモバイル端末活用が多くなった昨今、端末が適切に使用されていないことでセキュリティ事件が発生したり、コストが増大するといった問題が少なくありません。こうした問題を解消するためにも、モバイル端末の全体管理は絶対的に必要です。MDMは社有モバイル端末全体を一手に管理し、ユーザーの使用状況を把握し、セキュリティポリシーの適用に活用できます。
共有PCモード
異なるクライアントの共有環境を簡単に設定できます。
ビジネス向けWindows ストア
会社のプライベートストアとして機能し、アプリケーションの設定や配布および作成を管理します。
Windows Hello
端末をパスワードではなく生体認証で管理します。具体的な認証手段は、顔識別、虹彩識別、指紋識別です。第三者による端末の不正使用が多くなっている昨今、重要な機能の1つです。
コルタナ
Windows 10に搭載された音声アシスタント機能です。音声によって機能の呼び出しはもちろん、検索もできます。既に日本語対応しているので、ビジネスでも日常的に活用できるでしょう。
AppLocker
ファイルが持つ固有IDにもとづいて、アプリケーションの実行を許可または拒否するルールを作成したり、アプリケーションを実行可能なグループやユーザーを作ります。重要なファイルやアプリケーションの実行権限を管理できるため、セキュリティが向上する機能です。
App-V(マイクロソフトAplication Virtualization)
アプリケーションの実行環境を仮想化します。実行環境をクライアントOSと切り離すことで、セキュリティと管理効率を向上します。
UE-V(マイクロソフトUser Environment Virtualization)
Windows 10のOS設定、アプリケーション設定をキャプチャとして保存及び管理します。
Direct Access
リモートアクセス環境を構成するための機能です。
Windows情報保護
メールなどによるデータの誤送信を防ぎ、セキュリティを向上するための機能です。誤送信によるデータ漏えいが非常に多いため、企業信頼維持に有効です。
Credential Guard
仮想化ベースのセキュリティ機能です。特権を持つシステムソフトウェアのみがアクセスできるようにすることでセキュリティを向上します。
リモートデスクトップ
Windows 10を実行している端末から、同じネットワークまたはインターネットに接続されている、Windows 10を実行している別の端末に接続できます。
Windows To GO
USBフラッシュメモリ内にWindows 10のインストールイメージを作成し、Windows 対応のパソコンや端末でWindows 10を起動します。
BranchCache
離れた場所にあるサーバのコンテンツにアクセスする、ブランチオフィスの作業者を対象にWANリンクの使用量を減らして、アプリケーションの応対速度を向上します。
マイクロソフトDesktop Optimization Pack
アプリケーションを仮想化したり、グループ ポリシーを管理したり、ダウンタイムを短縮したり、法令遵守を監視
ライセンスとサブスクリプション
ビジネス向けWindows 10のライセンス形態について紹介します。
一般的にはPCを購入したときにWindowsがインストールされていますが、Windows 10 EnterpriseのOEM提供はなく、追加で購入する必要があります。この追加のライセンスは、使用権を定期契約によって利用するサブスクリプション形式により提供されます。また追加のライセンスを購入するPCはOEMの適用対象となるWindowsのライセンスを所有することが前提となります。ホワイトボックスなどのPCにこのボリュームライセンスを適用することはできないのでご注意ください。
また、このライセンスは単にWindows 10 Enterpriseの利用権だけでなく、VDI環境での接続利用権なども含まれているため、その得点をご確認ください。特にVDIはWindows 10への移行の際にも集中的に行える、またはアプリケーションの互換性の課題を担保できるなどの大きなメリットもありますので、あわせてご検討ください。
ビジネス向けWindows 10には、Windows史上最も多くのビジネス機能が搭載されています。
同時に、アップデートのポリシーも変更され、エディションにかかわらず運用も合わせて検討する必要があります。旧バージョンからの移行の際には、各エディションの違いを明確に理解した上で、要件に最適なものをご選択ください。
Windows 10移行に向けたアセスメント
いずれのエディションを選択するにしても、移行計画の第一歩は現在の環境のアセスメントです。Lakeside SysTrackは、ユーザーが利用しているPC環境を把握し、Windows 10への移行計画のもとになる情報を正確に収集します。ハードウェアインベントリでは既存のデバイスがWindows 10が必要とするスペックを満たしているか、またソフトウェアインベントリではWindows 10での互換性の問題が出るアプリケーションやバージョンアップが必要なアプリケーションがどの程度あるあるかなどを事前に把握します。これにより、移行に必要なコストやスケジュールを計画することが可能になります。
アセスメントツールの選定においては、移行後の運用においても活用できるものを選択したほうが投資の保護の観点でも有効です。Lakeside SysTrackはデスクトップやアプリケーションのパフォーマンス情報も含め、運用フェーズにおいても非常に有効なツールです。Windows 10への移行を機に、ぜひご検討ください。
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日本国内におけるマーケティング部門の責任者です。