VDI(仮想デスクトップ基盤)を利用するにあたって注意すべき点が、Windowsのライセンスです。システムとしては、サーバーの仮想基盤の上に、Windows 10やWindows 7の仮想マシンを立てればよいのですが、それをリモートから利用する際に発生するライセンスについて正確に理解している方は少ないかもしれません。

ここでは、VDIの仮想マシンにWindowsクライアントOS(Windows 10/Windows 8/Windows 7など)を使用する場合のライセンスについて説明します。WindowsサーバーOS(Windows Server 2016/Windows Server 2012 R2など)を使用する場合にはライセンス体系が異なりますのでご注意ください。

みなさんがPCで使用しているWindowsのライセンスは、みなさんどのように購入しているでしょうか。おそらく、PCを購入するとWindowsが入っていると思います。このライセンスをOEMライセンスと言います。このOEMライセンスは、あらかじめインストールされたPCにのみ有効であるため、物理的に他のPCに移行することはできません。

リモート接続の際のWindowsライセンスの考え方

VDI環境では、デスクトップで使用するWindowsはサーバー上で稼働させ、それをリモート接続して使用するため、普段使っているWindowsのライセンスは使用することができません。単に利用できないだけでなく、ライセンスの考え方も変わります。それは、インストールする仮想マシンのOSのライセンスではなく、利用する端末側に接続ライセンスが必要になるということです。
つまり、VDIの場合に必要になるWindowsのライセンスは、仮想マシンにインストールされるWindowsの数ではなく、接続して利用する側のユーザーやデバイスを起点に考えないといけないということです。
そのためのライセンスとして、VDA(Virtual Desktop Access)というラインセンスが準備されています。

今回は、このMicrosoft VDAライセンスについてご紹介します。

Microsoft VDAライセンスとは?

VDAは、先に述べた通りWindowsクライアントOSに対してリモート接続をして利用するためのライセンスです。そのため、VDIを利用する際には必ず確認するようにしましょう。

VDAライセンスは、VDI環境に接続するユーザーまたはデバイスの単位で購入します。接続する端末はWindowsである必要はなく、MacやLinux、iOSやAndroidデバイスやシンクライアント端末など、どのような端末からでも利用できます。

Windows 10 Enterprise E3/E5ライセンスとは?

VDAはどのような端末からでもWindowsのVDI環境を利用できると説明しましたが、接続する端末がWindowsの場合には、Windows 10 Enterprise E3/E5というライセンスでリモート接続を利用することも可能です。以前はWindows SAと呼ばれていたライセンスです。
VDAとの主な違いは、ライセンスを付与できる端末の種類です。VDAはどのようなOSのデバイスでもライセンスを付与できますが、Windows 10 Enterprise E3/E5では、特定のWindows OSが対象となります。詳細はこちらの表をご確認ください。

それ以外の端末からVDIを利用するためには、VDAライセンスの取得が必要です。

VDAランセンスの特徴

接続する端末によってVDAかWindows 10 Enterprise E3/E5のいずれかが必要になりますが、それ以外は両者とも基本的には同じ特徴があります。

  • Windows Enterpriseの利用
  • Microsoft Desktop Optimization Pack (MDOP)の利用
  • Windows のアップグレード
  • Windows To Go の利用
  • ローミング使用権

などがあります。詳細はこちらをご確認ください。

Windows 10 Enterprise E3/E5 は、たとえばWindows 10 Enterpriseを利用するためにライセンスをすでに保有している場合があります。その際には、他の目的でライセンスを保有していたとしても、VDIを利用するときに追加のWindowsライセンスは不要になります。

VDAライセンス費用

これまで通常のWindows OSライセンスを利用していた会社にとって、VDIを利用するときのWindowsライセンス体系は少し特殊に感じることでしょう。それは、Windowsのインストールに対してライセンスが発生するのではなく、リモート接続の利用に対して発生するからです。接続端末に適切なライセンスがあれば、サーバー側でインストールする仮想マシンの数はカウントしません。

そして、次に特殊なのはその提供方法です。VDAもWindows 10 Enterprise E3/E5も法人向けのボリュームライセンスプログラムでのみ提供されます。量販店やOEMの形で購入することはできません。

また、これらのライセンスはいずれもサブスクリプション契約モデルです。
サブスクリプションとは「期間契約」のことで、通常ライセンスでの購入したものに対する永続的なライセンスではなく、契約期間内だけ有効というモデルです。

実際の価格は、ボリュームライセンスのライセンスプログラムやボリュームディスカウントによって変動し、すべてライセンス販売パートナー経由での購入となりますので、実際の費用についてはパートナーに確認しましょう。

VDAのライセンス費用をどうとらえるか

以上のように、VDIでWindowsを利用する場合には、通常のPCでの利用とは全く異なる概念のライセンスが必要になることがご理解いただけたでしょう。しかし、このようなコストを上回るVDIのメリットはあります。

1. セキュリティの向上

デスクトップ環境を画面転送で利用するため、端末にデータやアプリケーションが残りません。そのため、モバイルデバイスの紛失や盗難の際にも、情報漏えいにつながることはありません。

2. デスクトップ環境の集約で管理を一元化

ユーザーの手元に物理的に拡散しているPCの環境を管理するのは非常に大変です。OSのセキュリティパッチの確実な適用や、アプリケーションのバージョンアップなどは非常に骨の折れる作業ではないでしょうか。VDIによってこれらのデスクトップ環境を一元管理することで、確実で円滑な運用管理が可能になります。

3.多様なワークスタイルの実現

政府主体で推進されている「働き方改革」のテーマの一つがテレワークでしょう。オフィスに出社して仕事をするのが前提だった時代から、どこでもネットワークにつながりさえすれば仕事ができる環境が当たり前になりつつあります。接続端末やネットワーク環境をすべてIT部門が管理するのは現実的ではありません。VDIによる集中管理によって、ユーザーの利用環境をもっと自由にすることができるのです。

ほかのメリット

先に述べた通り、VDAおよびWindows 10 Enterprise E3/E5のライセンスはVDIのためだけのライセンスではありません、セキュリティ強化等の追加機能を提供するWindows Enterpriseの利用など、多くのメリットがあります。VDIの接続もそのメリットの一つとして位置づけることで、費用の見え方が変わってくるでしょう。

とにかくVDIを利用したい

それでもVDAライセンスの費用負担が厳しいが、VDIのメリットを活用したいという方は、VDIのOSをWindowsクライアントOS以外の利用も検討することができます。

たとえば、Windows Server OSを利用すれば、クライアント側で必要なライセンスはRDS CAL(Remote Desktop Services Client Access License)になり、費用を下げることができます。また、Webアプリケーションの利用だけであれば、Linuxを使うことも可能です。

このように、VDIの利用には多様な選択肢があるのも事実です。SysTrackはそのような多様な環境においても統合的な運用管理の基盤を提供するツールです。ライセンスを正しく理解し、VDIのメリットを活用するためにもぜひ合わせてご検討ください。

仮想デスクトップの導入から運用までトータルに支援「SysTrack」