クラウドコンピューティング技術(以下クラウド)がビジネスの中心に存在するようになってから、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)、そしてSaaS(Software as a Service)といったワードをよく耳にするようになりました。これは、クラウドサービスをカテゴライズするためのもので、IaaSはインフラそのものを提供し、PaaSはミドルウェアや開発環境等を含めたプラットフォームをクラウドとして提供するものです。SaaSは、ホスティングされたアプリケーションを提供するものです。

企業や組織は、このクラウドサービスを利用することで、インフラ調達やプラットフォーム構築にかかっていた工数を大幅に削減でき、より短い時間で調達・構築したり、使用した分だけ料金が発生する従量課金制なので適正コストを実現するといったメリットがあります。

IaaSとPaaS以外にも、DaaS(Desktop as a Service)などクラウドサービスは多様化が進んでおり、ビジネスユーザーはそのニーズに応じて適切なサービスを選択することで、多くのメリットを享受することができます。

そして近年、WaaS(Windows as a Service)が多くのメディアや企業内で取りざたされています。WaaSはこれまでのクラウドサービスとはその概念が少し違うので、その意味を誤解している方が少なくないでしょう。

今回はWaaSの基本と、Windows 10移行で変わるOS管理についてお話します。

WaaSとは?

Microsoftが世界中に提供するOSであるWindows。世界で最も高いシェアを持つこのOSは、最新バージョンがWindows 10となっています。旧バージョンとなるWindows 8やWindows 7からの無償アップデートを提供していたことはまだ記憶に新しいでしょう。

MicrosoftはこのWindows 10が事実上最後のメジャーバージョンだと発表しています。今まで約3年周期で新しいWindowsが登場していましたが、これからはWindows 10を継続的にアップデートしていくことで、新機能や新デザインを常時提供し、常に最新のOSが使用できる環境を整えます。これがWaaSの概念です。

通常ならば新しいWindowsバージョンが登場したら、サポート期間内にアッグレードするか、OSを買い替えるかという選択肢を取る必要がありました。Windows 10ではそうしたサイクルが終了し、Windows 10自身が進化して新しい機能を提供するようになります。

WaaSがここまで注目されている理由の1つが「Windows 7のサポート期限終了」です。各Windowsでは5年のメインストリームサポートと、さらに5年の延長サポートが提供されます。そして、Windows 7は延長サポートが2020年1月に終了を迎えます。ちなみに延長サポートとは、セキュリティプログラム更新を残したアップデートサポートです。そのため、延長サポートが終了するとセキュリティプログラムの更新は停止され、もしも脆弱性が発見されても対応不可能な状態になるのです。

従って現行Windows 7を稼働している企業では、早急にWindows 10への移行検討および実行しなければならないのです。

WaaSが登場した背景

MicrosoftがWaaSという概念をWindows 10に取り入れた背景には2つの理由があります。

1つはユーザーを取り巻く環境の変化です。この数年間でインターネット環境が急速に身近なものになり、あらゆるデバイスが世界中のネットワークを通じてインターネットにアクセスされています。さらにクラウドの普及やビッグデータ活用などにより新しいサービスが次々に生まれ、幅広く利用されています。

こうした技術の進化スピードにいち早く対応していくためには、迅速な変化が必要であり、新しい技術をリリースするために3年も待ってはいられません。いつでも最新技術に対応し、新しい機能を最適なタイミングでユーザーに届けることが大切だからです。

もう1つの理由は巧妙化するサイバーセキュリティへの対応です。以前は愉快犯的なサイバー攻撃が大半を占めていましたが、最近では企業の機密情報や顧客情報が利益になるとして、組織的にサイバー攻撃をしかける事例が増えています。

さらに、ランサムウェアや標的型攻撃など攻撃の手法も多様化しており、最新の脅威に対していつでも素早く対抗策を講じることが大切です。従来のWindows では発見されたマルウェアに対してセキュリティパッチをリリースしても、企業のドメイン内パソコンに対してセキュリティ更新プログラムが適用されていない事例も多く、結果的にセキュリティパッチが届かないという事例が多くありました。

一方WaaSではダイレクトにセキュリティパッチを提供し、常に最新の状態を保ちやすくします。そうしたセキュアな状態を保つことによって、企業全体のセキュリティが向上しサイバー攻撃から社内システムや機密情報を護ることができます。

Windows 10へ移行すると管理が変わる

現在Windows 7を稼働している企業のほとんどがサポート期限終了までにWindows 10への移行を検討していることかと思います。以降はサポート期限終了ギリギリではなく、余裕を持って行うことをおすすめします。

Windows 10移行を検討している企業の懸念点といえば「Windows 10に移行することで既存のリソースでもうまく動くのか」、「移行によって管理がどう変わるのか?」ではないかと思います。前述のようにWindows 10にはWaaSという概念があって、継続的なバージョンアップによって新しい機能やデザインが都度追加されていきます。これは従来のWindows管理から、その方法が大きく変わることを意味しています。

まずメリットとしては、企業向けに「Windows Update for Business」というアップデート管理機能を備えていることです。企業のグループポリシーやMDM(モバイルデバイス管理)のポリシーに沿って、グルーピングをしたり、アップデートのタイミングなどをコントロールできるため、従来のWindowsに比べて計画的なアップデート作業全般を一元化することができるようになります。

また、企業内のすべてのユーザーがデバイスを同じように使用するとは限りません。Windows 10では、モバイルデバイスや最新技術をいち早く活用するモデルを選択したり、一部の厳密な管理が必要なシステムやデバイスに関しては固定化モデルを使用するといった使い分けが可能になります。

反対に、選択したサービスチャネルにより半年や1年周期でアップデートに対応する必要があるため、新機能だけでなく機能変更についても確認が必要になります。さらには、今まで動作していたアプリケーションが遅延したり最悪の場合には動作しないということにもなり兼ねません。
新しい機能やデザインが継続的にリリースされていく反面、ユーザーや管理者は常にその変化に対応しなければいけないため、難しいケースもあります。

Windows 10の新機能

Windows 10にアップグレードすることで継続的に新しい機能やデザインがリリースされることは、大きなメリットの1つです。では、Windows 10に移行することで どのような新機能が使用できるのでしょうか?

Cortana(コルタナ)

CortanaはMicrosoftが提供する音声アシスタント機能です。Windows 10がリリースされてから間もなく日本語バージョンもリリースされ、現在ではビジネスシーンでも色々とサポートしてくれる機能となっています。

同一アプリケーション

Windows 10はタブレットやスマートフォンでも同じ環境を採用した初のOSです。そのため、Windows 10を搭載しているデバイスはその種類にかかわらず同じアプリケーションを利用することができます。

Continuum(コンティニューム)

Windows 10は接続するディスプレイに応じて、自動的にサイズを調整します。そのためタブレットを大型ディスプレイに接続した際には、画面が最適化されますしキーボードがあればパソコンのようにも使用できます。多様な使用方法を持つことで、その場でプレゼンを始める等のビジネスも可能です。

いかがでしょうか?

Windows 10に移行することで管理方法は大きく変わり、そこには大きなメリットが多くありますがその反面で、運用管理が難しい場面も多々出てくる可能性があります。弊社の調査によるとWindows 10にアップグレードするとCPUやGPUリソースを大量に消費して動作しないアプリケーションも複数確認されています。移行時の動作確認や自動アップグレードによる影響度合いの可視化などWindows環境の可視化のためにLakeside のSysTrackを導入してみてはいかがでしょうか。

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